ゴーン前会長 会見中止 家族反対で一転

2019年6月29日 02時00分
 日産自動車に損害を与えたとする会社法違反(特別背任)罪などで起訴された前会長カルロス・ゴーン被告(65)の弁護人は二十八日、昨年十一月の逮捕後初めての記者会見を東京都内で開く意向を示したが、その後に「家族の強い反対があった」として中止した。
 日本外国特派員協会によると、ゴーン被告の弁護人は二十八日正午ごろ、協会に会見の開催を申し込み、いったんは同日午後九時から会見することが決まった。しかし午後五時ごろになって、弁護人から「ゴーン氏が家族と相談し、会見の中止を決めた」と連絡があったという。
 弁護人の弘中惇一郎弁護士は二十八日夜、報道陣に「妻キャロルさんとの接触を禁じる保釈条件の変更を裁判所に求めたが、認められなかった。不服を訴えるため会見を計画したが、娘の反対があり断念した」と説明した。

◆検察公判方針 中東の友人と「会社私物化」

 日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告(65)の特別背任事件の公判で、検察側がゴーン被告と中東の友人の間に、百七十億円を超える資金のやりとりがあったことを立証しようとしていることが、関係者への取材で分かった。検察幹部は「起訴したのは一部だけ。行き交った金額の大きさを明らかにし、いかに会社を私物化していたかを立証したい」としている。 (小野沢健太、山田雄之)
 検察側が公判で立証を予定している内容の書面によると、一連の問題のきっかけとなったのは、二〇〇八年のリーマン・ショック。個人的投資で多額の評価損を抱えたゴーン被告は、サウジアラビアの実業家ハリド・ジュファリ氏、オマーンの日産販売代理店「SBA」のオーナーのスヘイル・バウワン氏という二人の友人に助けを求めた。
 ジュファリ氏は同年十月、ゴーン被告に十九億七千万円を送金。この時点でゴーン被告は、投資の権利を損失ごと日産に付け替えることで当面の窮地を脱していたものの受領、借金返済などに充てた。バウワン氏も〇九年二月、二十二億五千万円を被告に貸した。
 ゴーン被告は翌月、自身の判断で支出できる予備費「CEOリザーブ」を創設。年百五十億円が使え、ジュファリ氏に同年六月~一二年三月、計十二億八千万円が支払われた。SBAには一二年以降に計二十三億六千万円が送金され、SBAから被告にも四十九億八千万円が送られていた。
 そんな中、一七年四月にゴーン被告とSBA関係者が東京都内で会食したのを機に、新たなルールがつくられる。SBAに送ったCEOリザーブの半額をゴーン被告のペーパー会社に還流させる仕組みだ。
 一七年七月と一八年七月には計十一億円がSBAに送られ、五億五千万円がペーパー会社に入った。SBA側から入金がないと指摘された被告が、部下に「誰かが支払いを止めていないか確認するように」と指示したこともあったという。
 弘中惇一郎弁護士は「SBAへの送金は正当な支払いだ。ペーパー会社はゴーン氏の保有ではなく、日産資金の還流には当たらない」と無罪を主張している。
 ゴーン被告は、自身の役員報酬を有価証券報告書に実際より少なく記載したとして、金融商品取引法違反罪にも問われている。特別背任事件も役員報酬不記載事件も、現在は争点や証拠を絞り込む公判前整理手続き中で、初公判の見通しは立っていない。

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