諫早湾干拓 最高裁、開門認めず 初判断 漁業者の上告棄却

2019年6月28日 02時00分

長崎県の国営諫早湾干拓事業の堤防排水門。手前は有明海、奥は調整池=2017年2月15日

 国営諫早(いさはや)湾干拓事業(長崎県)を巡り、諫早湾や周辺の漁業者が国に潮受け堤防排水門の開門を求めるなどした二つの訴訟で、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は漁業者の上告を退け、開門を認めない決定をした。二十六日付。裁判官四人が全員一致で判断した。具体的な理由は示さなかった。最高裁が開門の是非について判断したのは初めてで、残るほかの裁判への影響も注目される。
 干拓事業を巡っては、排水門の閉め切りで深刻な漁業被害を受けたとする漁業者は開門を求め、営農者は開門に反対し、それぞれ国を相手に訴訟を起こしている。
 訴訟では、国に五年間の常時開門を命じた二〇一〇年の福岡高裁確定判決と、開門差し止めを命じた一七年の長崎地裁判決などが存在。国が「開門命令」と「開門禁止」の真逆の義務を負う「ねじれ」状態が続いている。
 今回の訴訟の一つは、漁業者が〇八年、開門を求めて長崎地裁に起こしたもので、一一年六月の一審も一五年九月の二審福岡高裁も、「漁業被害と開門しないことの因果関係は認められない」などとして請求を棄却。漁業者が上告していた。
 もう一つは、営農者が国に開門禁止を求めた訴訟で、一七年四月の長崎地裁判決が開門禁止を認めたものの国が控訴しなかったため、補助参加人として訴訟に加わっていた漁業者が控訴し、独立参加も申し立てた。福岡高裁が一八年三月、「資格がない」として独立参加の申し立てを退けたため漁業者が上告していた。
 残る主な訴訟では、開門を命じた確定判決に従わない国が、漁業者に開門を強制しないよう求めた請求異議訴訟の上告審がある。七月二十六日には、双方の意見を聞く弁論が同じ第二小法廷で開かれる。国は一審の佐賀地裁では敗訴したが、二審福岡高裁は確定判決の効力を事実上無効とする判断を示しており、最高裁の判断が注目される。
<国営諫早干拓事業> 国は1986年、有明海の諫早湾で農地確保と低地の高潮対策を目的とした事業に着手した。97年に湾内を全長約7キロの潮受け堤防で閉め切り、堤防の内側に約670ヘクタールの農地と農業用水を供給する調整池約2600ヘクタールを整備。2008年に営農が始まった。総事業費は約2530億円。有明海で深刻な漁業被害が生じたとして、漁業者は開門を要求。国などは対策として漁場改善事業を02年度から始め、17年3月末までに約520億円を拠出した。

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