通学バス どう守る? 安全なはずが…周辺の学校苦慮

2019年5月31日 02時00分

児童らが刺された現場周辺から移動するカリタス小のスクールバス=28日、川崎市多摩区登戸新町で

 川崎市多摩区でスクールバスを待っていた私立カリタス小学校(同区)の児童ら十九人が殺傷された事件は、乗車する直前の惨劇だった。一般的に私立小学校などがバスを運行するのは、徒歩より安全と考えられるためだが、今回の事件は「想定外」の凶行。同小と生活圏が重なる川崎や横浜の学校が受けた衝撃は特に大きく、今後の対応に苦慮している。 (安田栄治、鈴木弘人、石川修巳)
 私立桐蔭学園小学部(横浜市青葉区)は、最寄り駅との送迎バスに教職員一人が添乗し、下校時には駅のホームまで見送る。事件後、二つの駅に計三カ所あるバス停に教職員を一人ずつ配置した。催涙スプレーを持たせることなども検討している。沢本敦校長(61)は「並ぶのは公共の場。何が起きるか分からない。子どもたちを守る手だてを考えていく」と強調する。
 私立横浜雙葉(ふたば)小(同市中区)は登校時、出発時間より早めにバスが到着。教員が見守る中で随時乗り込み、並ぶことはないという。「できるだけ人員を割いて対応したい」と北脇弘樹副校長(65)。事件を受けて下校時、バスに添乗する教員を増やした。駅近くの警察署や保護者にも見守り活動の強化を要請している。
 私立桐光学園小学校(川崎市麻生区)は、登校時にスクールバスを複数運行しているが、各児童が利用するバスは事前に決まっている。発車時間に合わせて駅前で並び、教員二人がその列を見守る。
 事件後は教員を二人増員。三十日朝は、斎藤滋校長(62)自ら駅前に出向いた。「刃物を持って襲われたら大人が何人いても防ぐのは難しい。教員の安全を守るのも必要。だからといって、さすまたを持たせるわけにもいかない」と困惑気味だ。
 文部科学省の調査(二〇一五年度実績)によると、登下校時の安全確保策としてスクールバスで送迎する国公私立学校の割合は28・9%で、うち幼稚園が55・4%(五千六百三十八校)、小学校が15・7%(三千百三十四校)、中学校が15・5%(千五百九十校)。
 「バス停で乗車を待つ時間を短くしてほしい」「ほかの駅からもバスを出して、分散させた方がいいのではないか」。カリタス小が開いた二十八日の保護者説明会では、そうした提案が寄せられたという。
 内藤貞子(ていこ)校長は「保護者会での提案も考えながら、できうる限りを尽くして、子どもたちを守っていきたい」と語った。

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