小6女児、39歳男性死亡 川崎・登戸 刃物で19人次々

2019年5月29日 02時00分

児童らが殺傷された現場を調べる捜査員ら=28日午前8時56分、川崎市多摩区登戸新町で(中西祥子撮影)

 川崎市多摩区の児童殺傷事件で、首を切って自殺した男は事前に四本の包丁を用意していたことが二十八日、神奈川県警への取材で分かった。その後の捜査で、男は同市麻生区多摩美一、職業不詳岩崎隆一容疑者(51)と判明。県警は多摩署に捜査本部を設置し、周到に計画して犯行に及んだ可能性があるとみて殺人などの容疑で調べている。容疑が固まり次第、容疑者死亡のまま書類送検する方針。
 県警などによると、事件は同日午前七時四十分ごろ発生。被害者は私立カリタス小学校(川崎市多摩区)の六~十二歳の女児十六人と男児一人、送ってきた保護者二人の計十九人と判明し、うち六年の栗林華子さん(11)=東京都多摩市桜ケ丘二=と、外務省職員小山智史(おやまさとし)さん(39)=世田谷区桜上水五=が死亡した。女性(45)と、いずれも六歳の女児二人が首などを切られ重傷。十九人の傷は顔や首、胸などに集中していた。
 岩崎容疑者はスクールバスが学校から到着して間もなく、両手に包丁を持ってバス停近くのコンビニ前で小山さんを背後から襲撃。その後、無言で走ってバス停に並んでいた児童と女性に切り付けた。バスの男性運転手が降車すると十メートルほど離れた場所に移動し、包丁で首を刺した。小山さんを襲ってからわずか十数秒の間のことだったという。
 近くの植え込みで血の付いた凶器の包丁二本が見つかったほか、コンビニの敷地内に置かれていた岩崎容疑者のリュックサックにも包丁二本が入っていた。
 岩崎容疑者の自宅は、登戸駅近くの現場から西へ約四キロの場所にあり、最寄りの読売ランド前駅からは小田急線で三駅。
 同小はこの日は休校にした。系列の幼稚園を含め三十一日まで休校・休園する。

◆引率の教頭証言 悲鳴で気づいた児童も襲う

 いきなりの凶行だった。「男は叫び声も怒鳴り声もなく、無言で刃物を振り回してきた。だから、私も子どもたちも気づかなかったんです」。
 当時、子どもたちを引率していた私立カリタス小学校の倭文覚(しとりさとる)教頭らが二十八日夜に記者会見し、被害に遭った詳しい状況を明らかにした。
 同校によると、午前七時二十五分から登戸駅近くのバス停と同校の間で、八本のスクールバス(六十人乗り)を運行。事件が起きたのは、五番目のバスが出発してすぐ。六番目のバスが到着し、児童が順に乗り始めた時だった。
 「キャー」「痛い」。バス停前で二列に並ぶ児童の後方から悲鳴が聞こえた。先頭から倭文教頭が後方に駆け寄ると、長い包丁らしきものを両手に持った男がいたという。「悲鳴で振り向いた児童にも切りつけながら、男は逃げるように走って行った。バスの運転手が『こらー』と言って追いかけました」
 児童の列があった後方に、児童や保護者が倒れていた。一一〇番し、歩ける児童をバスに誘導しつつ、けがをした子どもが複数いることを学校にも伝えた。近くのコンビニエンスストアには、多くの児童が逃げ込んでいたという。
 同校を運営するカリタス学園の斎藤哲郎理事長は「何とも言いようのない蛮行によって、何の落ち度のない子どもたちと、愛情深く子どもを育んでこられた保護者が被害に遭った。怒りのやり場がなく、痛恨の極みです」と声を詰まらせた。 (石川修巳)

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