基礎研究が社会変える 科技白書で重要性強調

2019年5月28日 16時00分
 政府は二十八日、二〇一九年版科学技術白書を閣議決定した。がん免疫療法につながる発見をしたとして一八年にノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑(ほんじょたすく)・京都大特別教授などの事例を取り上げ、基礎研究の成果が社会を大きく変え得ると指摘、重要性を強調した。
 白書は、人工知能(AI)などの登場によって、革新的な技術が社会へより大きな影響を及ぼすようになったと指摘。一四年のノーベル物理学賞に輝いた「青色発光ダイオード(LED)」は、世界のLED市場を拡大。遺伝子の改変技術「クリスパー・キャス9」によるゲノム編集は急速に広がり、社会に強い衝撃を与えたとしている。
 磁気共鳴画像装置(MRI)やリニア中央新幹線に重要な役割を果たしている超電導は、百年以上前に発見された現象だと説明。「息の長い取り組みが重要」と訴えた。
 一方で日本の科学技術を取り巻く環境は厳しいと懸念を表明。引用数が多い論文の国際ランキングで日本は順位が低下、博士課程の入学者数も減少傾向にあるなど、基盤研究を支える力が弱まっているとした。
 基礎研究の重要性については本庶特別教授やノーベル医学生理学賞の大隅良典・東京工業大栄誉教授ら歴代のノーベル賞受賞者が繰り返し訴えている。白書は、今後の方向性について国民的な議論と共通認識の醸成が必要だと結んでいる。

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