国民審査不可は違憲 在外邦人訴訟 立法不作為指摘 東京地裁判決

2019年5月28日 16時00分
 海外在住の日本人有権者が最高裁裁判官の国民審査で投票できないのは憲法違反だとして、米国在住の映画監督想田(そうだ)和弘さん(48)ら五人が国に対し、次回の審査で投票できる地位の確認や慰謝料一人一万円などを求めた訴訟の判決が二十八日、東京地裁であった。森英明裁判長は前回二〇一七年の国民審査で投票を認めなかったのは違憲だと判断。「立法不作為により、精神的苦痛を被った」として、国に一人五千円の支払いを命じた。投票できる地位の確認などの請求は退けた。
 森裁判長は判決で、「憲法は国民に、国民審査の審査権を行使する機会を平等に保障している」とした上で、「国民の審査権の行使を制限することは憲法に違反すると言わざるを得ない」と述べた。
 最高裁大法廷が〇五年、在外邦人が選挙で投票できない状況を違憲と判断し、一一年にあった同種訴訟の判決で東京地裁が、在外邦人が投票できない状況を「合憲性に重大な疑義がある」と指摘していたのに、「長期間にわたる立法不作為があった」とした。
 想田さんは判決後、弁護団の記者会見にインターネット中継を通じて参加し、「裁判所が常識的で憲法に沿った判断をしてくれた。速やかに法律を改正し、主権者の権利が侵害されている状態をただしてほしい」と求めた。
 国政選挙の在外投票は、一九九八年の公選法改正で導入された。比例代表のみで認められていたことを違憲とした〇五年の最高裁判決後、法改正により選挙区での投票も可能になったが、国民審査を巡る在外投票の法整備は進んでいない。
 外務省によると、海外に住む日本人は一七年十月現在、約百三十五万人いる。
<最高裁裁判官の国民審査> 最高裁の裁判官が職責にふさわしいかどうかを国民(衆院選の有権者)が審査する制度。任命後初の衆院選に合わせて実施され、その後は前回審査から10年経過後の衆院選ごとに行われる。辞めさせたいときは投票用紙に記された氏名の上に×印を付ける。×印以外は無効で、未記載は信任と見なされる。点字用の投票用紙には裁判官の氏名が印刷されておらず、辞めさせたい人の名前を点字器で記入する。投票総数が有権者数の1%以上で、×印や点字で投票された名前の数が未記載を超えると罷免されるが、過去24回の審査で前例はない。

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