川崎殺傷 登校の朝、暗転 児童の安全確保が課題

2019年5月28日 16時00分

児童らが刺された現場付近で行われる救助作業(手前)。中央左は登戸第1公園、後方は登戸駅=28日午前9時50分、本社ヘリ「あさづる」から

 学校に通う子どもがまた狙われた。二十八日朝に川崎市多摩区で私立カリタス小学校の児童らが襲われた事件。学校現場は安全確保に努めてきたが、登下校の全てを見守ることは極めて困難。子どもたちをどう守るか、改めて問われている。
 二〇〇一年に発生し、八人が殺害された大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件以降、文部科学省は学校の安全対策を強化してきた。校門の施錠や防犯カメラの設置など敷地内への不審者の侵入防止に加え、ボランティアやPTAによる通学路の見守り活動も広がる。警察庁によると、昨年末の全国の防犯ボランティアは約四万七千団体。
 学校保健安全法では、各校に安全計画や危機管理マニュアルの策定を義務付けている。一五年度に通学路の安全点検を実施した小学校は99・3%、中学校は93・8%に上り、子どもらに通学路の「安全マップ」を作らせた小学校は55・1%だ。
 それでも通学路や帰宅後には目が行き届かない「死角」が生じる。〇五年には栃木県今市市(現日光市)で小一女児が下校中に行方不明となり、殺害される事件が発生。神戸市でも一四年、小一女児が学校から帰宅後に外出して殺害された。
 新潟市では昨年五月に下校中の小二女児が殺害され、文科省は関係省庁とともに「登下校防犯プラン」を改めて作成。学校や地域住民、警察などが連携し、通学路の死角など犯罪が起きやすい場所を確認して警戒するよう求め、不審者情報の共有も呼び掛けている。
 ただ、プランは「児童生徒を極力一人にしない」という観点を重視するにとどまり、同省幹部は「プランを徹底しても完全に防ぐのは難しい面がある」と指摘。お茶の水女子大付属中(東京)で秋篠宮家の長男悠仁さまの机に刃物が置かれる事件も起きている。共働きの家庭も増加する中、下校した後の子どもの行動を含め、全てを「監視」するのは極めて難しいのが実情だ。
 柴山昌彦文科相は二十八日に記者会見し「事実関係について情報収集する。学校の安全確保に一層取り組んでいきたい。通学路の安全点検に加え、不審者情報をしっかりと共有、周知するなど、政府を挙げて対策を取っていく必要がある」と強調した。

事件に巻き込まれ、ストレッチャーで救急車に搬送される人=28日午前9時13分、いずれも川崎市多摩区で

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