えっ タカアシガニで楽器!? 豪の民族楽器「ディジュリドゥ」沼津の奏者・北川さん製作

2020年3月31日 02時00分

タカアシガニで作ったディジュリドゥを吹く北川さん(左)とドラムの牟田さん(カニクラブ提供)

 ともに深海底引き網漁が盛んな沼津市と愛知県蒲郡市で水揚げされる巨大なタカアシガニが、まさかの「楽器」となって両市の交流の懸け橋になろうとしている。オーストラリアの木製民族楽器「ディジュリドゥ」の奏者、北川和樹さん(36)=沼津市戸田(へだ)=が、タカアシガニの殻でディジュリドゥを製作。蒲郡市出身のドラマー牟田(むた)昌広さん(51)と結成したバンド「カニクラブ」が、四月に同市の竹島水族館でライブを予定する。(木下大資)
 タカアシガニの脚をつなげて作った長さ一・四メートルの管を吹くと、その先の甲羅の部分で振動が増幅され、不思議な低音が広がる。
 名付けて「タカアシガニリドゥ」。ディジュリドゥは、徐々に太くなる木製の管の先端部分で音量を増幅させるが、こちらは大きな甲羅によって「聞いたことのない反響」と北川さんは語る。
 「脚の太い部分は内径三センチで、ディジュリドゥと同じ。楽器になるべくして生まれたカニです」
 北川さんがこの楽器を作ったのは二年半前。戸田名物のタカアシガニを「有名にできないか」と相談されたのがきっかけだった。
 神奈川県出身の北川さんは二〇〇五年にオーストラリアへ留学し、ディジュリドゥの演奏や製作を学んだ。楽器作りに集中できる環境を求めて一六年に戸田へ移住。自分の特技とカニを結び付けて楽器を作った。
 一方、牟田さんは東京を拠点にさまざまなバンドでドラムを担当。北川さんが都内で開いたディジュリドゥ講座に参加して意気投合し、昨年二人でカニクラブを結成した。バンド名はカニを意味する英語「クラブ(crab)」と、思わず踊りたくなるクラブ(club)音楽を掛け合わせた。
 沖合底引き網漁船の基地である蒲郡市も、日本一深い駿河湾に面する沼津市と同様、タカアシガニが名物。牟田さんは今年初めに帰省した際に初めて知り、「信じ難い奇遇」と驚いた。
 牟田さんの知人らを介して竹島水族館に話が伝わり、四月二十六日に水族館でのライブが決まった。新型コロナウイルス感染の影響をにらみつつ、当日は午後二時半ごろから水族館前の広場で演奏する予定。
 「深海魚の街」同士ながら、目立った交流はなかった沼津と蒲郡。北川さんは「これを機にお互いの良いところを吸収して、深海魚の魅力を発信したい」と話している。
<ディジュリドゥ> オーストラリアの先住民アボリジニがユーカリの木で作る管楽器。一般的な笛のようにふさいで音階を変える穴は開いておらず、熟達した奏者は口の振動の強弱によって音階を変化させる。元の音量が大きくないため、北川さんはマイクを使用している。

竹島水族館の「タッチプール」でタカアシガニに触れる牟田さん(左)。右は小林龍二館長=愛知県蒲郡市で

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