世界初「担ぎ桶」電子和太鼓 鼓童と共同開発ローランド今夏発売

2020年3月29日 02時00分

試作機の初代モデル(左)と2代目モデル。太鼓芸能集団「鼓童」と4年前から開発を進めてきた=いずれも浜松市北区のローランド本社工場で

 電子楽器メーカーのローランド(浜松市北区)は、電子和太鼓「TAIKO-1」を今夏に発売する。帯で肩にかけて演奏する「担ぎ桶(おけ)」の電子和太鼓は世界で初めて。四年前に新潟・佐渡島を拠点に活動する太鼓芸能集団「鼓童(こどう)」と共同で開発に着手。二台の試作機を製作し、改良を重ねてきた。
 ばちで打面をたたいた振動を複数のセンサーが感知する仕組み。長胴太鼓や締太鼓といった他の和太鼓のほか、拍子木などさまざまな種類の音色を搭載した。
 打面には専用開発の三層のメッシュ素材を採用し、ばちでたたいても静かで自宅での練習も可能。音を出す場合はアンプかヘッドホンをつないで使用する。
 交流電源か単3電池八本で駆動する。幅と奥行きは各四十三センチ、高さは五十二センチで、重さは四・五キロ。想定価格は十四万二千円前後で、国内外で初年度に千台の販売を目指す。

電子和太鼓「TAIKO-1」を演奏するローランド第1開発部製品リーダーの野村晃太郎さん

◆開発担当・野村晃太郎さん「新たな音楽表現に期待」

 「TAIKO-1」は、ローランドが長年取り組んできた電子和太鼓開発の集大成だ。世界初の「担ぎ桶(おけ)」スタイルの実現に尽力した第1開発部製品リーダーの野村晃太郎さん(35)に、開発の苦労を聞いた。 (聞き手・鈴木啓紀)
 -開発のきっかけは。
 電子和太鼓には自社で何度も取り組んできたが、繊細さ、ダイナミックさの両面が求められる和太鼓の演奏情報を忠実に再現するのが困難だった。そんな時、「担ぎ桶の和太鼓を電子化できないか」と「鼓童」から提案があった。具体的なアイデアを出してもらったおかげで開発が進んだ。担ぎ桶は演奏者の中で近年、人気を集めている。今までにないスタイルの製品を出すことで、和太鼓の世界が広がればいい。
 -和太鼓の音色にどこまで忠実なのか。
 打面の中心から外にいくにつれ、音に軽さが出てくる和太鼓特有の音色変化を再現できる。「打面の位置に応じた音色の変化は和太鼓では大切」と演奏者から聞き、改良を加えた。
 -技術的に、どのような工夫を施したのか。
 複数のセンサーを使い、たたいた位置をより精密に検出できるようにした。これまでも電子ドラムに使われている技術だが、和太鼓用に最適化した。
 -肩にかけて演奏する場合、重さも重要だ。
 初代の試作機は重さが10キロ以上あり、同じサイズの和太鼓と比べ2倍近くだった。2代目の試作機もまだ約7キロあった。「TAIKO-1」ではより軽い専用の打面をつくったり、実際の和太鼓で革を張るために使うロープをなくしたりして、電池がない状態で4.5キロまで減らした。
 -どんな使い方をしてほしいか。
 和太鼓の音の大きさから、自宅で練習しづらいという課題の解決策になればいい。和太鼓の初心者はもちろん、バンドの中で使うなど新たな音楽表現にもつながるのではないか。

関連キーワード


おすすめ情報