佐佐木信綱 熱海の旧居 「凌寒荘」運営、困難に 活動担う団体、高齢化が深刻

2020年3月10日 02時00分

ボランティア不足が深刻になっている佐佐木信綱が晩年を過ごした「凌寒荘」=いずれも熱海市で(市教委提供)

 歌人で国文学者の佐佐木信綱(一八七二~一九六三年)が晩年を過ごした熱海市西山町の旧居「凌寒荘」が、管理・運営を担ってきたボランティアの高齢化で、体制の維持が難しくなっている。現在週二日で一般公開を行っているが、担い手がいなければ将来的に公開日を減らさなければいけなくなる。所有者の市が、ボランティア募集に乗り出したが九日現在、応募はないという。 (山中正義)
 凌寒荘は、信綱が静養のため一九四四年から亡くなるまでの十九年間を過ごした。木造平屋の母屋は三七年の建築で、友人の徳富蘇峰が命名。画家宮本三郎も一時期、居を構えたことがあり、その時に木造二階建ての建物が増築された。
 市民らからの保存を求める声を受けて市が二〇〇三年に取得。現在は土、日曜に庭園を無料で公開している。短歌愛好家らでつくるボランティア団体「凌寒会」が運営を担い、現在は市内外の女性十人が活動している。
 しかし、全員が六十~九十代で高齢化は深刻だ。このため会が昨年、市に相談。市教委が二月から短歌や文学に興味ある人らを対象に、ボランティアの募集を始めた。活動は原則、公開日の二日間だけで、戸締まりや客が来た際の案内が主な内容。年齢に制限はなく、活動日数などは相談に応じる。多少の謝礼も出るという。
 だが市教委によると、これまでのところ応募はゼロ。このままだと将来的に公開日を減らすことも考えなければいけない状況だ。市教委の担当者は「一人でも多くの人に加わってもらい、何とか週二日の公開は頑張ってやっていきたい」と話す。応募の締め切りなどはないという。
 凌寒会の松井千也子会長(79)は「私も命続く限り、ボランティアを続けて信綱先生の偉大さを皆さんに伝える。気軽に応募してほしい」と呼び掛けている。
 申し込みと問い合わせは、市教委生涯学習課文化交流室=電0557(86)6287=へ。

凌寒荘の運営継続への思いを語る「凌寒会」の松井千也子会長

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