<東京五輪 静岡の軌跡 1964から2020へ>(2) 8ミリカメラで撮影した「八ちゃん会」鈴木芳朗さん(84)=湖西市

2020年1月10日 02時00分

当時の聖火リレーコースとなった道路の脇で8ミリカメラを構える鈴木芳朗さん(右)=湖西市新居町で

 一九六四年東京五輪の聖火リレーを8ミリカメラで撮影したアマチュアカメラマングループが、湖西市新居町にある。町役場職員やサラリーマンらが、撮影のために結成した「八ちゃん会」だ。五十六年の時を経て、彼らは今年六月に再び同町を走るリレーを撮ろうと準備を進めている。
 もうもうと煙が上がるトーチを持って駆け抜ける隊列。「オリンピック聖火のトーチを高々と掲げ、ひたすら大地を踏み締める若人(わこうど)…」。映像に合わせてナレーションが流れる。沿道には、小旗を振る人々の笑顔が並ぶ。八ちゃん会が撮影から編集まで手掛けた記録映像「聖火」には、準備から本番までが約八分半にまとめられている。会のメンバーで当時、旧新居町職員だった鈴木芳朗さん(84)によると、沿道には当時の町民の約半数となる七千人が集まったという。「町が沸き立った。子どもからお年寄りまで、期待感から、みんな良い顔しとったよ」と振り返る。
 「歴史に残る瞬間を、町のみんなに見てもらおう」。二十~三十代の有志十人が集まった。カメラは、当時の平均給料三~四カ月分。フィルム代の負担も大きい。町教委からの補助金も受けた。フィルムは連続撮影で一分半ほどしか撮れない。無駄な場面を撮らないよう、ランナー担当、観衆担当など撮影の役割を分けた。「トーチ点火」「足の流れ」「近写」などと細かく指示を書いたシナリオを用意し、撮影練習を重ねるなど、約半年前から入念に準備を進めた。

撮影した映像の編集作業をする八ちゃん会のメンバー=旧新居町の本果寺で(鈴木芳朗さん提供)

 一九六四年十月三日午後四時半ごろ。聖火ランナーは町境から役場をへて、新居署(現・湖西署)までを二隊がつないで走った。鈴木さんは、聖火が次の隊へリレーされる役場前へ。歓声とともに隊が近づき、緊張感が高まる。次の隊列と入れ替わる場面を見事収めた。「絶対に失敗できないから、どきどきだった。待つ時間は長いけど、来たらあっという間。ワーという歓声と、聖火のすごい煙を覚えているよ」とほほ笑む。
 今年六月二十四日、湖西市は県内の聖火リレーの出発地となり、新居関所からみなと運動公園までの約一・九キロを聖火ランナーたちが駆け抜ける。八ちゃん会は昨秋から、撮影技術の勉強会や当日に向けた打ち合わせを重ねている。記録映像にはリレーだけでなく、現在のまちの様子も盛り込む予定だ。「再びこの地で聖火リレーを見られるとは、長生きするもんだね。湖西を広くPRし、後世まで残る映像を撮りたい」と鈴木さんは意気込んでいる。 (片山さゆみ)

聖火リレーで隊列が入れ替わる瞬間を収めた映像

関連キーワード


おすすめ情報

静岡の新着

記事一覧