<東京2020 夢舞台ともに>(下)マウンテンバイク チームブリヂストン サイクリング監督・小林輝紀さん
2020年1月5日 02時00分
岩や丸太を乗り越え、急な坂を上り下り、横たわる溝は勢いよくジャンプ-。マウンテンバイク(MTB)では野外を舞台に、迫力のアクションが繰り広げられる。三島市を拠点とするチームブリヂストンサイクリングの小林輝紀監督(51)は「自然を相手に、人間の力と技術を試されるのがMTBの魅力」と語る。
チームの監督と兼ね、日本代表のメカニックとしての経験も豊富だ。東京五輪にも呼ばれる可能性があるという。「MTBではコースの特徴や天候により、走り方や自転車の調整は全然違ってくる。選手の一番近くにいて、勝ち方を一緒に考えるメカニックの役割は本当に重要」と力を込める。
国際大会では一週間前から現地入りし、故障を防ぐために自転車を毎日調整。選手の状態に合わせ、タイヤの空気圧やサスペンションの働きなどを細かくアレンジする。「一台調整するのに二時間くらいかかる。選手が多いと大会直前は徹夜続き」と苦笑する。
昨年十月の五輪テストイベントで公開されたコースは、一周四キロで高低差は百八十メートル。男子は六周、女子は五周でタイムを競った。「スタート直後の岩場で渋滞するので、ここでミスして前に出られないと挽回は難しい。きつい坂も多く、気の抜ける場面がない。世界で最も厳しいコースでは」と分析する。
ブリヂストンからは、日本自転車競技連盟の強化指定である平野星矢(せいや)(32)、沢田時(とき)(25)の両選手が五輪を狙う。小林監督は「今は二人を五輪に送ることしか考えてない」と、教え子が夢舞台に立つ日を思い描く。 (杉原雄介)
<マウンテンバイク(MTB)> 自転車で岩や丸太を乗り越えたり、急な坂を上り下りしたりしてスピードを競う。タイヤが太くて初心者でも走りやすいため、初心者が自転車に親しむ入り口としても人気があるという。1996年のアトランタ五輪から五輪競技に採用されているが、日本勢のメダルはまだない。東京五輪では男女とも開催国枠として1枠を確保している。
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