子どもたちが作るフェースシールド 「自分でもできる」医療支援3000個以上

2020年5月20日 02時00分

完成した手作りのフェースシールドをつける熊坂桜さん

 休校中の小学生たちが、市販のクリアファイルを加工してフェースシールドを作り、病院に送っている。一組の親子の試作から始まった支援の輪は百人以上に広がり、これまでに約三千二百個が十二都府県の十四病院と三自治体に送られた。
 発起人は、国分寺市の熊坂麻致子さん(40)。四月半ば、新潟県内の病院で救命救急医として働く、弟の白倉悠企(ゆうき)さん(36)から「医療現場でフェースシールドが足りない」と聞いた。インターネットで医療用フェースシールドの作り方を調べ、百円ショップでA4サイズの透明クリアファイルやテープ、平ゴムを入手し、悠企さんのアドバイスも受け試作した。
 試作品を長女の小学六年桜さん(11)が生まれた武蔵野赤十字病院(武蔵野市)に持参し、医療現場で使用できるとお墨付きを得た。休校中の子どもたちに制作を手伝ってもらえたらと、桜さんの同級生十数人にビデオ会議アプリで趣旨や作り方を伝授。さらに工程を伝える動画を作り、SNSやメールで友人に送るなどして協力を呼びかけると、百人以上が賛同してくれた。
 「医療従事者を絶対感染させてはならない」と、制作にあたっては検温や手指の消毒を徹底。友人らの完成品は自宅前に設置した箱に入れてもらった。箱詰めする前にもアルコールスプレーで消毒する。熊坂さんがSNSで医療物資不足を訴える病院関係者に連絡を取り、依頼のあった医療機関に送っている。
 頭に留めるゴムバンドには「私たちを救ってくれてありがとう」「STAY HOMEで応援しています」などと医療従事者へのメッセージが書かれている。フェースシールドを受け取った千葉県内の病院の看護部長は「メッセージを読んで泣いた。感謝をエネルギーに換えて頑張りたい」と話す。
 桜さんは「ニュースを見ても、以前は『大変だな』と思うだけだったけど、自分でも支援できることがあると分かった」。同級生の佐野紗莉那さん(11)は「医療関係の人たちを勇気づけられたら」と話す。
 熊坂さんは「子どもたちが社会の支え手になった時、この経験を生かして自分で動けるようになってほしい」と願っている。
 工程の動画は、ユーチューブ(「Kids’ Shield Support」で検索)で公開している。
 文・小形佳奈/写真・坂本亜由理
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