<新型コロナ>最前線のあなたにありがとう

2020年5月24日 02時00分

医療機関にシェフの料理を無償提供する「Smile Food Project」のリーダーを務める石田聡さん(右)、石井真介さん(中)らメンバー

 一流シェフのおいしい料理。体を守るマスク。若者からの温かい応援メッセージ…。医療従事者や介護・福祉施設で働く人、保健所の職員にごみ収集の作業員、宅配業者ら社会基盤を支える「エッセンシャルワーカー」への「ありがとう」が広がっている。

◆シェフの料理 医療従事者に

 新型コロナウイルス患者の治療にあたる医療機関に一流シェフのおいしい料理を届ける「Smile(スマイル) Food(フード) Project(プロジェクト)」。緊急事態宣言により飲食店も休業を迫られる中、シェフらが集まり4月13日に立ち上げた。
 お弁当形式で届ける料理は、レストランやバーも手掛ける「CITABRIA(サイタブリア)」の江東区豊洲にあるケータリング用キッチンで作る。代表取締役の石田聡さん(53)がプロジェクトリーダーの一人。1000人規模のパーティーにも対応する大きな調理場や配送用の保冷車を持つノウハウが生きた。
 もう一人のリーダーで、持続可能な海を考えるシェフらの団体「Chefs(シェフス) for(フォー) the(ザ) Blue(ブルー)」の石井真介リードシェフが会員制交流サイト(SNS)で「フランスで日本人シェフが医療機関に差し入れをした。僕たちもやりたい!」と呼び掛け、石田さんが賛同。主に団体メンバーのシェフがメニューを考え、サイタブリアが調理する。本業ができない中でのボランティアだ。
 当初は週3回、1日200食を提供。希望する医療機関も増え、現在は日曜日を除く毎日、最大450食を届ける。食材は寄付の申し出も多いが、飲食店に卸していた農家らを支えるため、できるだけ購入している。医療機関からは寄せ書きのお礼も届いた。石田さんは「喜んでいただける方に届けられている。料理人は元気をもらっていると思う」と話す。
 日本橋でフレンチレストランを営む松本一平シェフ(45)は5月中旬から加わった。店は休業中で、通信販売での売り上げのめどが立ち参加が可能に。「医療従事者に喜ばれ、生産者からも仕入れができる。ウィンウィンな関係で盛り上げられたら」。初めて担当し作ったのは、果物をラップサンドやスープに取り入れ、甘みと酸味の一体感を楽しめる冷製のメニュー。「食べる時くらいはほっとしていただければ」と心を込めた。
 届け先は豊洲の調理場から車で1時間圏内に限る。プロジェクトは6月30日までは続ける予定で、寄付も募っている。詳細はウェブサイトで。
 (神谷円香)

◆39円寄付し提供 支援の輪

 マスク代三十九円で「サンキュー」を届けよう-。医療従事者や宅配、交通など社会基盤を支えるエッセンシャルワーカーにマスクを無償提供するため、一枚三十九円のマスク代を寄付する「THANK YOU MASKプロジェクト」が今月五日から始まり、支援が広がっている。
 医療機関では依然として必要なマスクが不足しているほか、エッセンシャルワーカーもマスクの確保が難しい。
 こうした状況を改善しようと、ボランティアが「THANK YOU MASK事務局」を港区に設立。賛同者がマスク代を寄付し、感謝のメッセージを伝えるホームページを開設した。
 支援は、サージカルマスクと、より防御効果が高い医療用マスクの二種類。サージカルマスクは一枚あたり三十九円で、三枚分百十七円からサイトで寄付を受け付けている。医療用マスクは一枚三百九十円で一枚分から受け付ける。コロナに対応している医療機関のほか歯科医院など小規模診療所、自治体、配送業者など約二百団体・施設から支援の要請がきている。
 サイトには寄付した人たちからのメッセージも掲載している。「過酷な環境でも頑張るあなた方は紛れもなくヒーローです」「外出を自粛することしか協力ができないと思っていましたが、この企画でほんの少しでもお役に立てたらと思いました」など感謝や励ましの言葉がつづられている。
 同プロジェクト事務局の勝瀬博則さん(55)は「多くの人が、新型コロナでは医療従事者だけでなく、エッセンシャルワーカーに感謝している。少額の寄付で気軽に支援に参加できる仕組みをつくりたかった」と話す。
 今後、中国からマスクを輸入し、来月から本格的に配布を始める。
 プロジェクトは、「#39mask」で検索。 (砂上麻子)

◆高3呼び掛け エール編集

 「医療に比べて目立たないかもしれないけど、皆さんも命懸けで闘ってくださっている当事者の一人だと思います」「私たちの生活は、皆さんなしでは成り立ちません。本当にありがとうございます」…。約5分間の動画からは、福祉や介護の現場で働く人、ごみ収集の作業員、保健所の職員、配達業者、医療従事者へのメッセージがあふれる。
 この動画は「偏見や差別を受けながら働く人たちを支えたい」と、関東と関西に住む高校生と大学生9人が作り、インターネットで公開している。
 彼らはNPO法人主催のフィリピンのスタディーツアーで1年前に知り合った仲間。高校3年の福嶋美咲さん(18)がSNSで呼び掛け、寄せられた動画をスマートフォンで編集して仕上げた。「動画を見てもらい、世界全体が『ありがとう』という雰囲気になれば、差別や偏見を減らせるかなと思った」と話す。
 今はそれぞれが「自分にできること」を考え、自粛生活を送っている。
 ごみ収集の作業員に向けて思いを伝えた大学1年の三木美月さん(18)は、家のごみ出しで「しっかり分別して、漏れないように袋の口を縛るように気をつけています」。高校3年の有原花香(かこ)さん(17)は「家族から感染者が出た場合の対応を話し合った」という。大学4年の清宮(せいみや)小百合さん(21)は、ごみ削減を兼ね、野菜の皮で染めた布でマスクを手作りした。
 動画づくりを通して国内の動きに関心を持つようになったという福嶋さんは「政治について考えるようになり、社会的弱者がいることにも気づけた」と話す。大学1年の岩下花凜さん(18)は「コロナ禍の中で働いている人に届いてほしい」、英国の大学への進学が決まっている原千尋さん(18)は「少しでも明るい気持ちになってもらえたら」と望んでいる。
 動画「感謝の言葉 コロナ禍で働いている方々へ」は、動画投稿サイト「ユーチューブ」で見ることができる。 (渡辺聖子)
 ◆紙面へのご意見、ご要望は「t-hatsu@tokyo-np.co.jp」へ。

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