「こま通」読めばあなたも駒込ツウ 地域愛満載 フリーペーパーが冊子に

2020年5月18日 02時00分

冊子になった「こまごめ通信」(一番上)とフリーペーパー=川上智世撮影

 JR山手線駅で降りたことがないナンバーワン駅に輝いた駒込駅。「何があるか思い出せない」という、そこのあなた! 駒込を愛する「駒込人(こまごめびと)」が発行するフリーペーパー「こまごめ通信(通称・こま通)」を読めば、地域にあふれる何でもなくて、あったかい日常から目が離せなくなる。4月には、こま通のバックナンバーをまとめた冊子が発売された。
 仕事中は楽しそう。リズムにのって厨房(ちゅうぼう)の中でくるくる動く様は、まるで踊っているみたい」。3月発行のこま通に掲載されている生パスタ専門店の記事。懐メロJポップをかけながら一人で注文をさばく店長が描かれている。親しみやすい人柄が伝わってくるようだ。
 街の書店の本棚を愛する大学教授、カフェのカウンターから街の人を慈しむバリスタ、地元スーパー「サカガミ」への愛を語る主婦-。A5判用紙の裏表に、駒込人の極めて個人的なまなざしがあふれる。
 情報サイト「乗りものニュース」が昨年行った調査で、「山手線駅で降りたことがない駅」の1位になった駒込駅。実際の乗降客数は最少ではないのに、その目立たなさが浮き彫りになった。
 駒込駅近くにある霜降銀座商店街のカフェで店長をしていた、しば田ゆきさんは、「本当は面白い人ばかりの駒込を盛り上げたい」と、思いを温めてきた。昨年2月、常連客の漫画家織田博子さん(35)に、フリーペーパーの構想を持ち掛けるや意気投合。4月に創刊すると、読者から新たに記事12本ほどが寄せられるほど評判になった。
 ライターのくれまちこさん(33)もそんな一人だ。「小林さんはロックだ」で始まる創刊号を読み、「小林さんって、誰? 印象深かったです」と笑う。ちなみに小林さんとは商店街に黄色い小さな洋服店を構える70歳。キラキラした目で自分が選んだ服の話をしてくれるという。見えていなかった街の面白さに出合えると確信したくれさん。2号目から編集に関わった。
 5号目からは、地域をパトロールする野良の三毛猫「ゴメス」も登場。豊島、北、文京3区にまたがる駒込エリアは3区の文化が融合する街。そんな思いを、三つの毛色に託した。ゴメスファンは多く、昨秋誕生したテーマソングはユーチューブで配信されている。LINEの専用スタンプも近日リリース予定だ。
 地域では、なじみの老舗店の閉店も目に付く。しば田さんは17年夏、閉店する洋菓子店のケーキをみんなで食べ合う会を企画した。前日の呼び掛けにもかかわらず、15人ほどが集まり、懐かしさを共有した。「普段からこうしたお店のある幸せを感じていたい」と織田さん。こま通は、駒込人の歳時記でもある。
人は、駒込の「解像度」が上がったとも強調する。「気づかなかった地域の魅力をこま通で知り、出掛ける機会ができた」という声も聞かれる。「つながりを増やし、駒込人を増やしていきたい」と思いは熱い。
 冊子版の「こまごめ通信」は、1冊800円(税別、通販は別途送料)で駒込駅近くのフタバ書店(北区西ケ原)で購入できるほか、こまごめ通信の専用サイトからも購入できる。同サイトでは、寄付も募っている。フリーペーパーのこま通は商店街の店舗などで配布中で、3人は「コロナが収束したら、(電車を)降りて駒込!」と呼び掛けている。
 文・中村真暁
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