コロナのリスク見える化 世田谷の「そふと電鉄」さん 独自分析し発信

2020年5月19日 02時00分

孫と、電車おもちゃ工作(商品名・ソフレール)で遊ぶ河上さん(左))=世田谷区で(本人提供)

 新型コロナウイルス感染情報を独自に分析し、ネットで発信している男性がいる。世田谷区に住む河上勇(いさむ)さん(67)だ。「そふと電鉄」というアカウント名のツイッターで行政が発表した数字を図表化。見れば、数字だけではわからない本当のリスクを身近に感じられる。
 「世田谷区は感染者数ワーストと、数の多さばかりで語られがち」。河上さんは、発信のわけをそう語る。多さだけでは見えない実態を伝えるため、ツイッターに載せてきたのが、都内二十三区別の感染者の総数と一万人当たりの数それぞれの棒グラフ=図1。一万人当たりの数は、六本木や歌舞伎町など繁華街を抱える港区や新宿区などが当初からワースト。小池百合子東京都知事が「夜の街」の危険を訴えていたのを裏付けるかのようだ。

図1 感染者の総数(左)と、人口1万人当たりの棒グラフ。世田谷区は感染者数ではワーストだが、人口当たりでは新宿や港など繁華街の方が多いことが一目瞭然

 一平方キロメートル当たりの感染者数の多さによって区別に色分けした地図=図2=も、毎日作成。ツイッターでは七日ごとの四枚で三週間の経時変化も表示した。それを見ると、新宿区や港区、渋谷区など都の中心部で感染率が高く、周辺の世田谷区や目黒区なども日がたつにつれ高くなっていった。「うつらないためには自分の生活圏を出ないのが何より。感染率が高い区の人も巣ごもりして遠くへ行ってうつさないのが大事」と河上さん。

図2 1平方キロメートル当たりの累積感染者数を色分けした地図。多い順に黒、紫、赤に塗られている

 最近は、二十三区別に新規感染者数の日ごとの増減を棒グラフ=図3=に。クラスター(感染者集団)が出た地域では突出するが「外出を自粛した効果が地域別にわかる」からだ。

図3 日ごとの感染者数の棒グラフ。折れ線グラフは直近7日間の平均値。毎日の値には凸凹があるが、平均を取れば増減の傾向がわかりやすい

 きっかけは、ヨーロッパの死者数の報道に触れたことだった。スイスに友人がいて心配になり「どれだけ危ないのか」を、海外四十カ国の感染者数を人口で割って差異を確かめた。その後日本でも感染が増え、地域の感染リスク判断が感染者数の多さに偏っているのに疑問を感じ「本当のリスク」を算出し始めた。
 河上さんは横浜国大工学部を出て長年、プラントメーカーの技術・研究職をしていた。ごみ焼却炉を設計し、毒性が強く環境汚染が問題となったダイオキシンの排出を抑制する焼却炉を研究。論文を多く執筆し、まとめて博士号を取り、ダイオキシン削減への貢献で環境大臣賞を受けたことも。「だから情報を図表に起こすのは何でもないんです」と語る。
 二〇一八年春に定年退職した後、孫に作った電車のおもちゃが公園で人気を集め、多くの人に届けたいと同年七月、電車おもちゃ工作キットを製造販売する会社を起業。会社名「そふと電鉄」には「祖父と」孫をつなぐおもちゃ、の意味もある。
 ツイッターは「地元の状況を知るのに重宝してます」と区議や都議らから反響が続々。二十三区外の人からも、「地元情報をぜひ」との要望があり、多摩地区も同様に情報を配信している。
 文・岩岡千景
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