<おうちで名画を>世界の至宝が初来日 延期の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」

2020年4月26日 02時00分

フェルメール「ヴァージナルの前に座る若い女性」 1670~72年ごろ油彩・カンバス51.5×45.5センチ (c)The National Gallery,London.Salting Bequest,1910

 ゴールデンウイークが近づくと東京に世界の名画がやってくる。今年の代表格はロンドン・ナショナル・ギャラリーの所蔵作品だろう。フェルメール、モネ、ゴッホ…日本人に人気の高い巨匠の名が並ぶ。残念ながら、新型コロナの影響で開催は延期されたままだ。せめておうちで鑑賞しよう。
 ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、ルーブル美術館、大英博物館などと並び入場者数で世界のトップ5に入る。欧州の名門美術館の多くは王室のコレクションに由来しているが、同ギャラリーは英国議会が一八二四年に創設した「市民のための市民の美術館」。約二千三百点の所蔵品は、「市民のため」をうたっているだけに、国外に出ることはほとんどなく、海外で大規模な所蔵展が開催されるのは初めてだ。
 国立西洋美術館で先月から展示される予定だった全六十一作品もすべて日本初公開。中でもヨハネス・フェルメールの「ヴァージナルの前に座る若い女性」、フィンセント・ファン・ゴッホの「ひまわり」に注目したい。
 十七世紀のオランダ絵画黄金時代を代表するフェルメールの作品は三十数点しか現存しない。「ヴァージナル…」は最晩年の作品。当時の鍵盤楽器ヴァージナルに手をかけた女性を中心に、美しく設(しつら)えられた室内が描かれている。画家の真骨頂である映像のような写実的な手法とは少し趣が異なり、光の反射やそれによる微妙な色彩の印象が写し出されている。
 ゴッホは、花びんに生けられたひまわりを生涯で七枚描いた。四枚は、南仏アルルで共同生活を送ることになるゴーギャンを迎えるため描いた「友情の証し」。四枚の最後とされるのがこの「ひまわり」で、背景が初めて黄色になった。黄色はゴッホにとって幸せの色で、共同生活による創作への意欲が投影されている。以降の三枚は、この「ひまわり」などを基に自身で複製した作品といわれる。
 ゴッホと並び日本で人気のクロード・モネの作品では「睡蓮(すいれん)の池」が公開される。モネはパリ郊外の自らつくり上げた庭園で睡蓮を連作として描き続けてきた。この作品では、夏の昼下がりの陽光を反射する水面のきらめきが、藤色や緑色の点描で鮮やかに表現されている。
 国立西洋美術館の川瀬佑介主任研究員は、「同ギャラリーは教科書的なコレクションで知られる。今回はそれを『イギリスとヨーロッパ大陸の交流』という視点で紹介している。おなじみの作品でも新しい観点からお楽しみいただけるはず」と開幕を心待ちにする。
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 ロンドン・ナショナル・ギャラリー展(国立西洋美術館・読売新聞社など主催)は三月三日から開催予定だった。最新情報は同館HPへ。
 文・森優美子
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