東京って何色? 資生堂 24時間を18色で

2020年4月27日 02時00分

東京の1日を表現した9色のマニキュア。ボトルには時計の文字盤も

 万葉集では「あおに(青丹)よし」と言えば奈良。京都で想像するのは紫がかった朝がすみか。では、東京の色は? 目に見えないウイルスの脅威で、色を失ったように沈んで見える今の東京。そんな時だからこそ、東京の「色」にまつわるエトセトラを。
 午前八時五十分は皇居ランナーのウエアの弾むような黄緑。午前十時十二分は風に踊る桜のピンク。もうすぐ日付が変わる午後十一時五十七分は闇にネオンが輝いて…。これは資生堂が三月に発売した若い女性向けコスメ「ピコ」シリーズの口紅とマニキュアの色。「東京の一日」が、それぞれ九色、計十八色で表現されている。
 色にまつわるタイトルや物語を考えたのは、入社四年目のデザイナー長竹美咲さん(29)。具体的な何かの色ではなく、心象風景の色だという。桜や水色の空などは想像がつくが、「何で?」という色も。例えば午後三時はグリーン。長竹さんの「レトロな喫茶店のクリームソーダです」という解説に、なるほど。
 午後八時三十八分の口紅の容器はシックなピンクと深緑(ふかみどり)のブランドロゴ。タイトルは「恋をポストに」。夜まで悩んで書いたラブレターを、今日のうちに投函(とうかん)すると決めた女性の心情が、この二色とか。でもポストといえば赤では? 答えは、並木通り沿いにある資生堂銀座ビルの前にあった。赤ではなく深緑のポストが街路樹に溶け込んでいた。
 留学でパリとニューヨークに住んだ経験がある長竹さん。「東京は計画的に整備された海外の大都市に比べて、いい意味で雑多。古いものと新しいものが行き来し、エリアごとの『色』も強い。みなさん一人一人が色の解釈を楽しんでもらえれば」

◆感謝の「ブルー」街を包む

 東京のシンボルは文字通り色々(いろいろ)な色が使われている。都営バスや東京都のシンボルマークは鮮やかな緑。コンクリートジャングルに例えられる東京だが、皇居や明治神宮など案外、緑は多い。
 江戸から続く和の情緒も大都会のもうひとつの顔。東京スカイツリーのライティングは水色が「粋(いき)」、紫が「雅(みやび)」などしゃれた名前で知られるが、「和の色」は意外な所にも。千代田区の公衆トイレは女性が蘇芳(すおう)色、男性が紺青(こんじょう)、「だれでもトイレ」が若苗(わかなえ)色。色の専門家の助言も受け、伝統色を採用したという。
 首都の毛細血管・地下鉄もカラフル。東京メトロ広報部によると、快速電車がある東西線の路線カラーは疾走感があるスカイブルー。銀座線のオレンジはベルリン地下鉄を模範にした開業時の車両の色から。同系色でも千代田線はグリーン、南北線はエメラルドとこだわりがある。
 そして今、新たな色が東京を包み込んでいる。医療従事者への感謝を伝えるブルーライトアップだ。都庁舎、スカイツリーなどから始まって、隅田川の橋、レインボーブリッジへと賛同の輪が広がっている。「遠くに青い光が見えたら、医療関係者に思いをはせていただければ」と都の担当者。ブルーの祈りが届いた時、東京は、どんな色を見せてくれるのだろう。
文・宮崎美紀子/写真・佐藤圭美
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