おうちごはんもっと笑顔に 広がるテークアウトの輪

2020年4月15日 02時00分

テークアウト用の弁当を仕込む川久保さん(左)ら=世田谷区で

 街も気分もふさぎ込む、こんな時だからこそ、おいしいものを食べたい! 食べさせたい! 弁当や総菜をテークアウトできる店を紹介するサービスが次々と登場している。

◆#Save Restaurants! 飲食店を守りたい、全国に波及

 全国のレストランを応援する「#Save Restaurants!」のサイトには、テークアウトできる店が地図上に示され、自宅や職場の近くで、どの店がテークアウトをしているかが簡単に分かる。
 発案したのは信州大学特任教授の鹿取みゆきさん(59)=狛江市。「レストランの向こう側には農家や漁師などの生産者がいる。このままではまずい」。食の生産現場を研究する鹿取さんは飲食店の苦境に危機感を抱き、テークアウトできる店の情報を知り得る限りでまとめて会員制交流サイト(SNS)で発信した。
 共感したソムリエの蜂須賀紀子さん(48)と料理人の石川雄一郎さん(38)が協力し、今月上旬に三人でサイトを立ち上げた。行列ができたり予約が取れなかったりする人気店も掲載され、「食べるなら今がチャンス」と評判が広がっている。
 和食居酒屋の夕(セキ)(世田谷区)も掲載店の一つ。店主の川久保賢志さん(43)は「感染拡大を防ぐために完全に店を閉めたいのが本音」と明かす。だが、国の休業補償が期待できない中、家賃とスタッフの給料だけは絶やすまいと、テークアウトに絞って営業している。
 昼はサケや鶏の照り焼きの弁当を、夜は総菜の六品セットを八百~二千円で販売する。励ましを込めて毎日のように買いに来てくれる常連客もいる。川久保さんは「子どもの学校が休校になったりテレワークを強いられて、ご飯を作るのが大変な家庭もあると思う。力になれたら」と話す。
 東京神奈川版のサイトに掲載される店は六百を超えた(十四日現在)。取り組みを知った人から「自分の街でもやりたい」と声が上がり、賛同の輪は全国に波及している。

◆#東京都北区帰宅メシ

 一般社団法人「東京北区観光協会」が始めたプロジェクト名は「東京都北区帰宅メシ」。シャレが効いている。ホームページでテークアウトを始めた店の場所を紹介、インスタグラムなどのSNSで「#東京都北区帰宅メシ」で料理を投稿すると、公式アカウントが拡散する。
 提案したのは区内のレストラン「TAGEN DINING CAFE」の田村哲朗店長(39)。「客足が減っているが手をこまねいているわけにはいかない。新しいお客を取り込みたい」と意気込む。家族連れのため子ども向けの持ち帰りメニューの販売も始めた。

◆府中BENTOMAP

 情報技術(IT)で地域の課題解決を目指す府中市の団体「Code for
 Fuchu」は、弁当販売を始めた市内の飲食店を紹介するサイト「府中BENTOMAP」を開設。コピーして使えるひな型をサイトで公開し、他の地域でも地元店を応援したい人が活用できるようにした。
 ひな型などを参考に同種団体や個人、商工団体などがつくった類似サイトは、品川区や小金井市、千葉県流山市、北九州市、函館市など全国で三十を超えた。
 府中の団体は、小平、稲城市の同種団体の先行事例に触発され、類似方式で三月末にサイトをつくった。
 弁当などのテークアウトや配達をしている店の住所や地図、電話番号、商品や値段を無料で掲載。店主の了解を得た常連客や店自身が投稿フォームに必要事項を入力して情報を増やしていく。店の了解は得ていないが街で見かけた店の情報は「#府中お弁当プロジェクト」で投稿できる。
 市内で飲食店を営むメンバーの斎藤善寛さん(44)は「自分の店でも弁当を始め、看板を出したが、なかなか認知されない。飲食店の痛みは人ごとでない」と言い、「各地で地元飲食店の応援者をつくるきっかけになれた」と喜ぶ。
 文と写真・加藤健太
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