東京新聞 椎名町専売所

2020年5月3日 17時57分

東京新聞 椎名町専売所


【住所】東京都豊島区南長崎 3-16-2 【電話】03-3951-7751

竹内 将義さん


強い意志を持ち、失敗を恐れずに道を切り開いてきた竹内さん。過去に上司に恵まれなかった経験から、同じ思いを己の部下にさせまいと良き上司の在り方を探っている。

「サラリーマンは肌に合わないと転職を決意されたと聞いたわ」

 上京した時に販売所の仕事を経験したのが、この仕事との出会いです。その後、普通の会社に勤務しましたが上司と折り合いが悪い会社が多く、サラリーマンとして会社を転々としていました。ある時、仕事上でもどかしい問題が起き、自分は人に使われるのは性に合わないと再確認。それで自ら起業することを決めたんです。独立起業系の雑誌を読み漁っていた 25 歳の時、その中にたまたま東京新聞の店主募集の記事を見つけ、経験もあるのでやって見ようと思ったわけです。しばらくは本社の管理店で修行させていただき、実際に独立したのは 27 歳のころですね。自分の意見をはっきり持って発信していると、ことなかれ主義で長いものに巻かれがちな人たちとは、どうしてもぶつかるものです。所長となってからは改善すべきは点は改善し、自分の思うように突き進むことができるようになり、気付けばもう15年も経っていました。

スタッフの皆さんも仲が良く、立ち位置を確認するちょっとした会話の中ですら笑い声が起こっていた。


 独立当初、最も頭を悩ませたのは人手不足です。間が悪いことに私自身も交通事故で全治 1、2カ月の怪我を負ってしまって配達業務ができなくなり、やりくりに苦労したことをよく覚えています。現在はスタッフが 5~6人に増えて手が足りなくて困るということはなくなり、うまくお店が回っていると感じています。

チョウカンヌ「上司に苦労された竹内さん。ご自身が上司となった今、スタッフにはどう接しているのかしら?」


 私がとても大切なことだと考えているのは、「自分自身の力で挑戦し、かつ失敗すること」「第三者の視点で公平に見て、他人の意見にも耳を傾けること」「個性を大切にし、自分の意見を持つこと」の3つです。ですので、スタッフには失敗をしても構わないからどんどん挑戦してほしいと伝えています。また、彼らの意見や相談事にはきちんと向き合い、現場が働きやすい環境をつくる努力をしますし、悩みがあれば仕事に関係がなくても聞くようにしています。所長はいつでも相談に乗ってくれる、というふうに信頼してもらえることが重要なんです。それから、これまで散々怒鳴り散らすタイプの上司で苦労して
きたので、自分自身はそれを反面教師に、スタッフを絶対に怒らないようにと心がけています。怒らなくたって、きちんと説明すれば相手は分かってくれますから。

スタッフのエピソードを話す時には相好を崩す竹内さん。従業員は部下というより友達だと思っているという。

 彼らも私の思いに応え、自分で考え、それを元に行動するということを実践してくれています。昨年はひどい台風がきましたが、「配達はぼくたちでできますから、所長は家でゆっくりしていてください」という電話をもらった時には感銘を受けました。
 個性を大切にすることは勿論、スタッフそれぞれが持っている夢を理解することも上司として必要なことだと考えています。現在いる大卒の男の子なんて、「フリーランスで成功したらお店を辞めます」と私に話したりするんですよ。そんなこと、普通上司や経営者に言わないですよね(笑)。でも、私はそれを応援してあげたいと思うんです。実際に夢を叶えて辞めていった人もいますが、今も連絡をくれます。いつかはこの店から新しく所長として独立する人が出てきたらなぁ、というのがささやかな夢ですね。

チョウカンヌ「椎名町といえばトキワ荘が有名ね。この街はどんなところ?」

 基本的には静かな住宅地で、暮らしやすい場所です。でも、一度外に出れば気さくに声を掛けてくださる方が多いですし、ちょっと下町っぽい空気もあります。うちのお客さんでなくてもご近所さんとして差し入れをくださったり、バレンタインに義理チョコをもらうことも……(笑)。同じエリア内でも、昭和の風情が残っている場所もあれば、新しくつくられたモダンでおしゃれな雰囲気の場所もあって、それぞれ空気感がはっきり違うのも特色です。

「海の見える家に住みたい」という夢を叶え、昨年66歳で引退した元スタッフから届いた、海を描いた葉書。

 この辺りではトキワ荘に因んだまちおこしも盛んで、散策しているとあちこちでトキワ荘に住んでいた漫画家たちの気配を感じることができます。商店街でもトキワ荘と絡めたお祭りを行っているので、私たちも出店で参加させていただいて、地域の方々と楽しみつつ交流をしています。
 とはいえ、昨今のコロナウイルス騒ぎ(※編注:取材は2020年3月13日)の影響で、過敏になっている方も少なからずいらっしゃいますね。私たちもマスクの着用とアルコール消毒は怠らないようにしていますが、一時的に購読を止められている方もおられます。はやく元の落ち着きが戻ってくることを祈るばかりです。

■トキワ荘跡地碑(ときわそうあとちひ)

【住所】東京都豊島区南長崎3-16-6
トキワ荘は、1952年から1982年にかけて、手塚治虫などの日本を代表する著名な漫画家が暮らしていたことで広く知られる木造アパート。老朽化のため1982年に取り壊されましたが、現在も漫画の聖地として多くのファンが往時を偲びに訪れます。

■トキワ荘通りお休み処(ときわそうどおりおやすみどころ)

【住所】東京都豊島区南長崎2-3-2
トキワ荘通り沿いにある休憩所。1階ではトキワ荘に住んでいた漫画家の作品を閲覧したり、関連グッズを購入したりすることができます。2階は展示スペースとなっており、トキワ荘のリーダー格であった寺田ヒロオの部屋を再現した常設展示は必見です(2020年3月31日まで閉館中)。

■トキワ荘マンガミュージアム(ときわそうまんがみゅーじあむ)

【住所】東京都豊島区南長崎3-9-22 南長崎花咲公園内漫画によるまちづくりの一環として豊島区が整備する、「マンガの聖地としま」の発信拠点。トキワ荘の外観ばかりでなく内部も忠実に再現し、ミュージアムとして蘇らせようという取り組みで、2020年4月以降のオープンを予定しています。

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