韓国WTOへ提訴検討 対韓輸出規制強化に対抗

2019年7月2日 02時00分
 政府は一日、韓国に対し、スマートフォンなどに使われる半導体製造に必要な材料三品目の輸出規制を四日から厳しくすると発表した。日本は元徴用工問題で韓国に解決への道筋の提示を求めているが、事態が進展しないため事実上の対抗措置に踏み切る。韓国側は世界貿易機関(WTO)への提訴を検討するとして、強く反発している。(伊藤弘喜、ソウル・中村彰宏)
 輸出規制強化の対象は、半導体の洗浄に使う「フッ化水素」やスマホの画面などに使用する「フッ化ポリイミド」、半導体の基板に塗る感光剤の「レジスト」の三品目。日本は韓国への輸出手続きについて、複数の製品を包括的に審査・許可する方式から個別にみる方式に切り替える。手続きにかかる時間が増え、審査には通常で九十日程度かかるという。
 三品目は日本勢の世界シェア(市場占有率)が高く、半導体大手のサムスン電子など韓国電機企業にとって打撃になるとみられる。一方、日本の輸出企業や、韓国製半導体を使う日本企業も影響を受ける恐れがある。
 政府は韓国側に六月二十八、二十九両日に大阪市で開かれた二十カ国・地域首脳会議(G20サミット)までに元徴用工問題の解決策を示してほしいと要請してきたが、経済産業省幹部は「満足する解決策が示されなかった」とし、「日韓の信頼関係は著しく損なわれた状況だ」と述べた。西村康稔(やすとし)官房副長官は一日の記者会見で、元徴用工問題への「対抗措置ではない」と否定した。
 これに対し、韓国の成允模(ソンユンモ)・産業通商資源相は「わが国の最高裁判決を理由とした報復措置であり、三権分立の民主主義原則に照らし、常識に反する措置で深い遺憾を表明する」と述べ、WTOへの提訴など対応措置を取る方針を明らかにした。
 経産省は三品目以外でも安全保障上の脅威となる電子部品などの対韓輸出を厳格にする。輸出手続きを簡素化する対象国「ホワイト国」から、八月をめどに韓国を外す政令改正の手続きに入った。
<輸出規制> 軍事転用の恐れが高い貨物や技術について政府が実施する輸出管理。事前審査を経て経済産業省の許可を得る必要がある。外為法に基づき対象品目を定めた「リスト規制」と、それ以外の品目でも経産相が許可申請が必要と通知するなどした「キャッチオール規制」の2種類がある。輸出先の国が同様の輸出管理を徹底し、兵器拡散の恐れがないと判断すれば「ホワイト国」としてキャッチオール規制の対象外としている。

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