<新型コロナ>新宿二丁目 守りたい 店主ら休業補償求め署名提出

2020年5月22日 02時00分

休業中の店で危機的な現状について話す玉城利常さん

 国内有数のゲイタウンとして知られる「新宿二丁目」を守りたいと、新型コロナウイルスの感染拡大で休業中の飲食店主らが補償を求める署名を新宿区に提出した。夜回りや清掃活動に取り組み、営業再開に向けたガイドラインも作成。新宿二丁目振興会の玉城(たましろ)利常会長(59)は「差別や偏見の根強い日本で、この街はさまざまなセクシュアリティーの人が安心して過ごせる場所。一つでも店の看板をなくさないよう力を合わせたい」と話す。 (奥野斐)
 二十三年前からゲイバー「Base」を営む玉城さんによると、二丁目周辺には東西約三百メートル、南北約三百五十メートルのエリアに約四百軒のバーや飲食店がひしめく。
 最近は多様な性を包み込む街として国内外からも多くの客が訪れていた。しかし、店舗の多くは小規模で「三密」になりやすく、振興会に加盟する約百三十店は大半が三月下旬以降、休業している。
 常連客向けに店のボトルを予約販売したり、オンライン営業をしたりとそれぞれ工夫しているが、家賃や人件費が払えず、廃業を決めた店もあるという。玉城さんは「四月分は蓄えでなんとかなった店も、五月分をどうしようかと頭を抱えている」と窮状を訴える。
 現状を知ってもらおうと、会員制交流サイト(SNS)などで「#SAVEthe2CHOME」を掲げて、区に補償を求める署名を集めた。今月八日には店主や従業員ら七百五十四人分を、十五日には常連客などを含めたオンライン署名二千七百三十八人分を吉住健一区長宛てに提出した。
 植木の盗難や店の一部が壊されるなど休業中を狙ったとみられる被害もあり、五月に入ってから週三~四日、夜回りと清掃も始めた。営業再開に向け、「入り口での消毒」「カラオケは控える」などのガイドラインを作った。
 二丁目で女性限定の鉄板焼き店「どろぶね」と、誰でも入れる足湯カフェ「どん浴」を経営する長村さと子さん(37)のもとには休業後、常連客らから「孤独」「誰かと話したい」との声が届く。「周囲にカミングアウト(告白)していなくて窮屈な気持ちを抱えている人が、この街に来て救われている」
 長村さんは、生きづらさを抱え、家族と離れて二丁目で働く若い当事者たちのことも心配だ。「親に頼れず、補償もない。そういう人たちの居場所を守るためにも、店を再開する日までできることをしたい」と語った。

オンラインで営業する長村さと子さん(いずれも本人提供)

関連キーワード

PR情報

東京の最新ニュース

記事一覧