商業捕鯨31年ぶり再開 捕獲枠抑制 批判に配慮

2019年7月2日 02時00分

31年ぶりに商業捕鯨が再開され、釧路港に水揚げされたクジラ=1日午後、北海道釧路市で

 日本の商業捕鯨が一日、三十一年ぶりに再開し、初日の操業で捕獲されたクジラが同日夕に北海道釧路港で水揚げされた。政府は国際捕鯨委員会(IWC)脱退に伴う海外からの厳しい視線に配慮し、一般的な魚種より極めて抑制的な捕獲枠を設定し「百年間捕獲を続けても資源に悪影響はない頭数だ」と強調する。捕鯨支持国にも考え方を説明して連携強化を進める考えだ。
 水揚げされたのは、沿岸操業の小型捕鯨船が捕獲したミンククジラ二頭。それぞれ解体され、四日にも取引が行われる見通し。
 水産庁は、二〇二〇年以降に設定する年間捕獲枠の上限となる捕獲可能量をミンククジラ百七十一頭、ニタリクジラ百八十七頭、イワシクジラ二十五頭の計三百八十三頭と算出した。IWCで採択された方式を使い、いずれも推定資源量の1%以下だ。日本沿岸の他の魚種では3~30%程度となっており、極めて厳しい水準という。イワシクジラは外国人研究者の指摘を反映した結果、特に厳しい0・07%の水準となった。
 一九年十二月末までの捕獲枠は、捕獲可能量から一九年度の調査捕鯨で捕獲した頭数や留保分を差し引くなどして設定した。
 一八年度の調査捕鯨では、日本沿岸を含む北西太平洋でミンククジラ百七十頭とイワシクジラ百三十四頭、南極海でクロミンククジラ三百三十三頭の計六百三十七頭を捕獲した。商業捕鯨の上限は頭数ベースでは調査捕鯨の六割程度となった。供給する鯨肉量ベースでも拡大は難しい水準とみられる。
 政府は、今後もIWCにオブザーバー参加するほか、集めた鯨類のデータを提供する方針だ。商業捕鯨の再開を前にロンドンで抗議デモが起こるなど批判が出ており、国際的な鯨類の資源管理に協力する姿勢を示すことで日本の立場への理解を広げたい考えだ。

◆「国際法を逸脱」豪団体が批判

 【シドニー=共同】日本が三十一年ぶりに商業捕鯨を再開したことについて、反捕鯨国の急先鋒(せんぽう)オーストラリアの非営利団体「オーストラリア海洋保護協会」のダレン・キンドリサイズ最高経営責任者(CEO)は一日、声明で「日本の捕鯨は国際社会との足並みを乱し、国際法を逸脱している」と批判した。
 キンドリサイズ氏は捕鯨を「時代遅れで残酷な斜陽産業。市場はほぼ消滅している」と指摘。オーストラリア政府が南極海での日本の調査捕鯨中止を求め国際司法裁判所に提訴、二〇一四年に日本が敗訴したことに触れ、日本が国際捕鯨委員会(IWC)を脱退したからといって、国際法上の観点から捕鯨は容認できないと強調した。
 キンドリサイズ氏は「いま一度クジラと国際法の原則を守るための対策を取るよう、オーストラリア政府に注目している」とした。

◆西村官房副長官 国内外に説明継続

 西村康稔官房副長官は一日の記者会見で、日本が商業捕鯨を再開したことについて「鯨類の資源に悪影響がないよう科学的根拠に基づき適切に管理しつつ行う」と政府の見解を述べた。今後も国内外への説明を続け、理解を求めていく姿勢を強調した。
 その上で「一日も早く軌道に乗り、わが国の豊かなクジラの文化が次の世代に継承されることを期待したい」と話した。

関連キーワード

PR情報