<ひと ゆめ みらい>時代に対応する技術強み アクリル加工会社社長・小沢頼寿さん(40)=足立区

2020年5月11日 02時00分

オリジナルのアクリル板が豊富な「三幸」社長の小沢頼寿さん=足立区で

 東京メトロ千代田線北綾瀬駅から歩いて十分。住宅街の中にアクリル加工会社「三幸(みゆき)」はある。工場を兼ねた店舗の壁一面には赤、青、オレンジ、マーブルなどカラフルなアクリル板が並んでいる。
 「五十年前からオリジナルのアクリル板には番号をつけて管理しています」と説明する。オリジナルブランドの「Tokyo Acryl」として、その数は約六千種類に上る。
 同社は、祖父の小野頼三さんが一九七〇年に「三幸彫刻所」として創業。当時は銀行員の名前をアクリル板に彫った名札を主に製造していた。八〇年代に入ると、主力商品はバレッタやカチューシャなど女性用のアクセサリーとなるなど、時代によって商品も変化してきた。
 埼玉県生まれで、祖父や父が社長を務めていたが、家業には興味はなかった。高校卒業後、建築業などいろいろな仕事を経験した。二十一歳の時、結婚を機に同社に入社した。
 顔料など色の配合、素材の特徴、営業など会社の仕事は現場で学んだが、やりたいことがあって入社したわけではなかったため、最初はモチベーションが上がらなかった。それでも自分が作った携帯ストラップやアクセサリーを身に着ける人を街で見かけ、少しずつものづくりの面白さを感じ、やりがいを感じた。
 二〇一五年、父親の後を継いで三代目社長に就任。レースや和紙を封入したオリジナルのアクリル板の開発のほか、アニメやコンサートのグッズ制作を依頼されるなど技術力とデザイン性は高く評価されている。
 「アクリルは生活必需品ではないので時代によって作る商品が変わる。時代の変化に対応できる素材や色、技術が強み」と話す。
 新型コロナウイルスの感染拡大で店舗は臨時休業を余儀なくされている。アクリル板加工技術をいかし、飛沫(ひまつ)の拡散を防ぐフェースシールドを開発。自治体や歯科医師などから注文が相次いでいる。「自分たちの技術が役に立つのはうれしい」とアクリル板の可能性を感じている。
 会社は今年で創立五十周年を迎えた。安価な中国産が増え、アクリルの製造販売を行う企業は減っている。「会社を百年後まで続くようにしっかりした基盤をつくるのが役目」と未来を見据える。 (砂上麻子)
<三幸> 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オリジナルアクリル板販売の「Tokyo Acryl Shop」は、臨時休業している。フェースシールド購入希望は、Tokyo Acrylのホームページで受け付けている。問い合わせは三幸=電03(3629)0331=へ。

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