<ひと ゆめ みらい>「鉄ちゃん」地域盛り上げる 都電カフェを経営・藤田孝久さん(75)=荒川区

2020年3月30日 02時00分

都電カフェを営む藤田孝久さん

 都電荒川線の起点、三ノ輪橋停留場(荒川区)から約三十メートル北にある「都電カフェ」を経営する。
 店内のカウンターには、レトロな電車の模型やミニチュアが所狭しと並んでいる。壁には、都電の「系統板」や国鉄の駅名板がずらり。時刻表なども置かれている。ほとんど私物だといい、「今では手に入らないプレミアものもあります」と誇らしげに語る。
 幼いころから「鉄ちゃん」で、荒川区役所に勤めていた公務員時代から「いつか鉄道をテーマにしたサロンを経営したい」と思ってきた。三十五年前に一度、都内の別の場所で開業できるよう手はずを整えたが、直前に仲介会社が倒産。すべて水の泡になった。すでに役所を辞めており、一年ほど無職に。「いい機会だし、人生を見直そう」と前向きにとらえることにした。
 環境問題に興味があったため、段ボールなどを回収するリサイクル会社を営んだ。需要が多く、従業員やトラックを増やして規模を拡大。さらに町内会などを回るうちに古本が集まるようになったことから、古書店も手掛けることにした。
 系列の古書店三店舗のうち、一つが三ノ輪橋停留場周辺にあったことが都電カフェ開業のきっかけ。カフェの入る建物は三階建てで、もともと別の経営者による古書店だった。約四年前、経営難でこの店が撤退し、空き店舗に。停留場の玄関口ともいえる立地だったため「都電を降りて、いきなりシャッターが閉まりっぱなしというのも寂しい」と感じた。地域を盛り上げようと、建物を引き受けて長年の夢だったカフェを開くことにした。
 ただ、順風満帆とはいかなかった。当初、一階は自転車ジムとして外国人トレーナーに貸し出し、二階をジム併設のカフェ、三階を更衣室とした。しかし「採算が合わず、トレーナーも一年ちょっとで辞めた」。結局、ジムも含めて自身で運営することに。客が入りやすいよう一階にカフェを移設。二階をホテル、三階をジムとして生まれ変わらせた。
 リニューアルから四月末で丸一年。最近、経営は安定してきていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、宿泊やカフェの予約のキャンセルが相次いでいる。早期の収束を願いつつ、都電の魅力をこう話す。「環境に優しく、高齢者や地域にも親しまれている公共交通機関。ぜひ乗車して、カフェに来てほしい」
  (天田優里)
<都電カフェ> 商店街「ジョイフル三ノ輪」の一角に店舗を構える。高齢者のためのイベントや地域食堂などにも場所を提供している。営業時間は午前11時から午後10時。水曜定休。住所は荒川区南千住1の15の16。問い合わせは同店=電03(6806)6860。

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