<東京人>東京クラシック音楽散歩 オーケストラ経営の難しさ

2020年3月29日 02時00分

2019年3月に開催した杉並公会堂と日本フィルの共同エデュケーションプログラム「みる・きく・さわる・オーケストラ!」の様子。今年は中止(山口敦撮影)

 新型コロナウイルスの感染拡大により、大型イベント開催の自粛要請が続いています。そのため、四月以降もクラシックコンサートの中止や延期が相次ぎ、全国のオーケストラが存続の危機にあると報じられています。
 日本フィルハーモニー交響楽団理事長の平井俊那さんは、東京人四月号特集「東京クラシック音楽散歩」のインタビューで、平均一千万円ほどかかる一回のコンサート(百人規模のオーケストラ)の事業経費はチケット収入だけでは賄えず、企業や自治体、個人などからの助成金や寄付金に頼らざるをえないのが現状と、オーケストラ経営の厳しさを語っています。そこに、今回のコロナ影響による損失額を考えると、問題はさらに深刻です。
 指揮者の大野和士さん、政治学者の片山杜秀さん、作家の恩田陸さんらによる座談会では、芸術文化に対して「官」と「民」ができること、海外に比べて日本の文化予算が低いこと、サポート体制が不十分であることなどに言及。一方で、コンクールというシステムの弊害や、今の音楽家に望むことなど、クラシック音楽を深く愛するがゆえの未来に向けた辛口提言も忘れてはいません。
 国内に加えて、海外の実力ある人気オーケストラや音楽家の演奏が東京で聴けるのも、音楽都市として東京が成熟している表れでもあります。そのためにも、国内外の音楽家が安心して演奏でき、観客がホールの扉を自由に開けることができる日を望みます。
 毎週日曜日にお届けしてきた「『東京人』編集部から」の連載は今回で終わります。約二年半にわたってご愛読いただき、ありがとうございました。(「東京人」副編集長・田中紀子)
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 「都市を味わい、都市を批評し、都市を創る」をキャッチコピーに掲げる月刊誌「東京人」の編集部が、4月号の記事をもとに都内各地の情報をお届けします。問い合わせは、「東京人」編集部=電03(3237)1790(平日)=へ。

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