<東京NEWS 2019> (9)五輪マラソン札幌へ 「選手ファースト」程遠く

2019年12月31日 02時00分

四者協議の前に、言葉を交わすIOCのジョン・コーツ調整委員長(左)と小池百合子知事=中央区で(代表撮影)

 「残念でなりません」
 今月三日の都議会定例会。小池百合子都知事は所信表明で、二〇二〇年東京五輪のマラソン・競歩の会場が東京から札幌に移転された経緯を振り返り、語気を強めた。決着して一カ月たってなお、無念さが拭い切れないように見えた。
 開催地変更案について国際オリンピック委員会(IOC)から突然の発表があったのは十月十六日の夜だった。理由は東京の猛暑による選手の健康への懸念。直前にドーハで行われた世界選手権のマラソンと競歩でリタイアが相次いだことが引き金となった。
 この発表に小池知事はすぐさま反発した。同日夜には「突然の発表に驚きを感じる」とコメントを発表。翌日には「北方領土でやったらどうか」などと述べ、不快感を示した。
 都は招致決定以降、真夏の開催に向けてIOCと協議を重ね、暑さ対策を進めてきた。突然の変更案に「今更何だ」と、知事周辺からは怒りの声があふれた。発表直前まで都に変更案が伝えられなかったことも、不信感を高めた。
 だが最終的な決定権を持つIOCは一貫して札幌開催を主張。「覆すことは無理だ」と都側も追い込まれ、小池知事は十一月一日、IOC、大会組織委、国との四者協議で「同意はできないが、IOCの決定を妨げることはしない。合意なき決定だ」と容認を表明することになった。「都は札幌開催に伴う追加費用は負担しない」などの約束は取り付け、最終防衛線を守ったように見せたが、実態は完敗に近かった。
 一連のドタバタ劇であらわになったのは何か。猛暑の東京で五輪を開催する計画そのものの限界だったのではないか。
 IOCは多額の放映権料を支払う米テレビ局への配慮で、米国の人気スポーツのシーズンと重ならない七、八月の開催を開催都市に求めているとされ、そこにIOCが強調する「アスリートファースト」の理念はない。一方で日本側も招致段階で同時期の東京を「温暖で、理想的な気候」と、ウソといわれても仕方がないような説明をしてきた。
 ご都合主義で、正々堂々のスポーツマンシップとは程遠い五輪の一端。釈然としない思いが残った。 (岡本太)
 =おわり

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