<ひと ゆめ みらい>足立区で難民支援「ミナー」立ち上げ 桜井美香さん(39)

2019年9月30日 02時00分
 公的な支援をほとんど受けられず、頼れる相談先もない。母国から逃れ、将来が描けない。異国の地で孤立しがちな難民の人たちの苦悩に寄り添い、地域で支えることはできないか。
 そんな志を抱いて昨年五月、一般社団法人「ミナー」を設立。昨秋、活動拠点を足立区内で立ち上げた。団体名は、アラビア語の「港」という意味の言葉からイメージして名付けた。難民の人たちが気軽に立ち寄り、相談できる「居場所」づくりを目指す。
 すべてがゼロからの出発だった。「ミナー」を知ってもらおうと日英仏三つの言語で名刺サイズのPRカードを作成。チラシも作って社会福祉協議会や教会、モスクなどに配布した。拠点の事務所にはお茶を飲んだり、本を読んだりしてくつろげる休憩室を設けた。
 難民認定を待つ人たちがまず直面するのは、言葉の壁だ。「生活を切り詰めても、医療費を分割でしか払えない」。日本語が分からず、病院に説明がうまくできない人もいる。ソーシャルワーカーなどと協力して交渉にも立ち会う。自宅を訪問し、悩みや困り事の相談に乗ることもある。
 孤立して引きこもらないように、料理教室やまち歩き、大学生との交流イベントを企画して参加を募るなど、活動の幅も少しずつ広げている。近所から食器や食材などの寄付を受けるなどオープンから一年で地域に根を下ろしつつある。
 難民の問題に関心を持ったのは、大学院の在学中に認定NPO法人「難民支援協会」(千代田区西神田)でインターンをしたのがきっかけだった。卒業後の二〇〇七年から、生活支援スタッフとして難民の生活を支援する仕事もした。所持金がつきてホームレス状態に陥った人には、簡易宿泊所やシェルターを一時的な滞在先として紹介した。
 日本で昨年、難民認定を申請した一万四百九十三人に対し、認定は四十二人にとどまる。協会での活動を通じ、審査結果を待つ間も迫害を恐れて同じ国のコミュニティーと接触を避けたり、在留資格を得ても言葉や文化がハードルになり孤立したりする難民の苦しみも肌で感じた。「地域で寄り添い、切れ目なく支えるネットワークをつくりたい」。それが「ミナー」設立の原点になった。活動を始めてつながった難民は約二十人に上るという。
 「難民の人たちが地域で安心して暮らせるようお手伝いしたい」と意気込む。 (大沢令)
<一般社団法人「ミナー」> 毎週火~土曜の10~16時にオープン。金曜不在。ソーシャルワーカーなどが無料で相談に応じる。問い合わせはホームページ(https://mina-a.jimdofree.com/)から。足立区関原3の6の14。

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