<東京人>近代スポーツことはじめ 二つの五輪、建築デザインの違い

2019年7月28日 02時00分

建設中の新国立競技場。2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる

 一九六四年と二〇二〇年、二つの東京オリンピックで使用される競技施設について、建築のデザイン面から、その傾向の違いを見てみましょう。
 一九六四年の五輪に際しては、国立屋内総合競技場(現・国立代々木競技場)や駒沢公園体育館・陸上競技場が新しく建設されました。これらは大空間を支える構造を建物の内外観に象徴的に表した「構造表現主義」の名建築として、国内外から高く評価されました。
 一方、二〇二〇年五輪の主会場として建設中の新国立競技場では、スタンドを覆う屋根や外周部の庇(ひさし)に、木材を使っているところが大きな特徴です。木は地球環境に優しく高い持続可能性をもった材料として、使用が推奨されています。それに応えたものですが、建物の構造で主体となるのはあくまで鉄骨であり、木はそれを補完するものでしかありません。つまり構造とは別の表現が与えられているのです。
 さらに目を引いたのは、建築の施工方法です。水泳会場のアクアティクスセンターや有明体操競技場では地上部で屋根を組んでから押し上げるリフトアップ工法が、バレーボールの主会場となる有明アリーナでは鉄骨屋根の架構を端部で組んで水平移動させていくトラベリング工法が、それぞれ採用されました。これにより工事期間の短縮を実現しています。
 五十六年間を隔てた二つの五輪で施設を比較すると、建築デザインの主題が、構造や象徴性から環境や工法へと変わってきたことが見て取れます。 (磯達雄)
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