<東京人>浮世絵で歩く 東京の凸凹 高低差が生むにぎわい

2019年6月30日 02時00分

六本木ヒルズの毛利庭園

 上野の山から不忍池を望む「上野清水堂不忍ノ池」、人工の滝を見上げる「王子不動之瀧(たき)」など、歌川広重は「名所江戸百景」で江戸の高低差がある新名所を描いてきました。
 「もし広重が現代の東京にタイムスリップしたら、どんな新名所を描くだろうか?」。そんな疑問から、「東京スリバチ学会」会長の皆川典久さんが立ち上げたのが「高低差建築学会」。皆川さんは「高低差を活用した魅力的な公共の場を創出しているか?」という点に着目し、再開発で生まれた都内の新名所の見方を提案します。
 たとえば六本木ヒルズ。高台と南日下窪(ひがくぼ)と呼ばれたスリバチ状の窪地を含む大規模再開発は、造成されたなだらかな斜面地に「さくら坂」や「けやき坂通り」などを通し、周辺と一体になる高低差を生かした回遊性の高い街を生みました。また、新たに整備された「毛利庭園」は、谷戸の湧水をためて造られた江戸時代の毛利家上屋敷・池泉回遊式大名庭園の記憶を継承し、訪れる人たちの憩いの場所に。ほかにも、地下鉄赤坂駅から続く階段状の広場を造り、劇場のようなオープンスペースを開放した「赤坂サカス」。斜面地に沿って配置されたテラス状の商業施設とサンクンガーデンが一体となって、地下鉄六本木一丁目駅地下コンコースとつながる「泉ガーデン」など、実は東京の再開発のキーワードのひとつが「高低差」なのです。
 今も昔も人々は、「高低差」に驚きと新時代を感じているのかもしれません。 (「東京人」副編集長・田中紀子)

地下コンコースから階段でつながる泉ガーデン

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