杉並区の交流自治体が撤退 高齢者らの移住事業 静岡・南伊豆町

2019年6月27日 02時00分

南伊豆町が取得を断念した旧共立湊病院跡地。建物の取り壊しが進んでいない=静岡県南伊豆町で

 杉並区の交流自治体・静岡県南伊豆町の岡部克仁町長が、町の地方創生事業で都市部に住む高齢者らの移住定住を促す「日本版CCRC(生涯活躍のまち)」から撤退する、と表明した。区の所有地と共に拠点と見込んでいた隣接の病院跡地の土地取得費が高騰したことなどから断念したという。
 日本版CCRCは、都市圏の人口過密問題の解消と地方の活性化を目指して政府が二〇一五年に提唱した構想。町は一六年度から構想に着手し、最新の計画では、病院跡地と区所有地を再開発、見守りや生活相談を受けられるサービス付き高齢者住宅(サ高住)と若い世代向けの一般住宅を合わせて百戸整備するとしていた。主に都市部のシニア世代を移住対象と想定し、総事業費十二億円。
 だが病院跡地で土壌汚染が見つかり用地取得費が高騰。計画が遅れ、地方創生推進交付金を活用できる期限の二一年度末までの完成が厳しいことも断念の一因となった。
 二十五日に記者会見した岡部町長は「計画の前段として土地の取得ができず、事業自体も計画はなしということを決めた。町の負担や費用対効果を考えると(推進は)厳しい」と説明した。
 町と杉並区は昨年三月、区民の入所を目的に都道府県境を越えた自治体間で共同整備した全国初の特別養護老人ホーム(特養)「エクレシア南伊豆」を開業した。特養とCCRCの両事業を地域活性化の「二本柱」と位置付けていたが今回、一方が頓挫する結果となった。事業撤退は杉並区にも報告済みで、理解を得たという。
 杉並区の担当者は「事業の進捗(しんちょく)を見守っていたところ、町から土地が取得できず事業を断念するという報告をもらった。町が決めたことで仕方がないと受け止めている」と話した。 (中谷秀樹、渡辺聖子)

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