<東京人>浮世絵で歩く-東京の凸凹 江戸時代にタイムスリップ

2019年6月2日 02時00分

(左)歌川広重「名所江戸百景品川御殿やま」(所蔵・太田記念美術館)。(右)浮世絵と同じ視線で撮影した現在の御殿山

 その土地の高低差や地理的なことから、その街の歴史を掘り起こす地形散歩がブームとなり久しいですが、江戸の人気行楽地は凸凹地形にあることが多く、実は江戸の人たちも高低差を楽しんでいました。
 歌川広重をはじめとする浮世絵師たちが描いた江戸名所から、坂や展望台、渓谷や滝など地形の高低差に着目して紹介する「江戸の凸凹-高低差を歩く」展(二十六日まで)が、太田記念美術館(渋谷区神宮前一)で開催中です。
 東京人七月号では、展覧会企画者で太田記念美術館学芸員の渡邉晃さん、地名や地理に明るいエッセイストの能町みね子さん、東京スリバチ学会会長の皆川典久さんに、十の地形キーワードで浮世絵を読み解いていただきました。
 なかには、より地形に焦点を当てたと思われる浮世絵も。「名所江戸百景 品川御殿やま」は花見の名所のひとつ御殿山を描いた作品ですが、前面に大きく描かれているのは「崖」。この崖、防衛のための海上砲台「台場」をつくるのに必要となった大量の土を削り取った「土取場」の跡です。広重は、江戸の土木工事で新しく生まれた風景をも名所として描いていたのです。今の御殿山に、その崖の名残を感じることができます。
 立ち並ぶ建物に覆われる東京ですが、本郷台地を開削してつくられた神田川など、江戸の高低差や地形は意外とそのままです。浮世絵を手に描かれた場所に行き、江戸時代にタイムスリップする江戸東京地形散歩。新しい散歩スタイルです。 (「東京人」副編集長・田中紀子)
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 「都市を味わい、都市を批評し、都市を創る」をキャッチコピーに掲げる月刊誌「東京人」の編集部が、7月号の記事をもとに都内各地の情報をお届けします。問い合わせは、「東京人」編集部=電03(3237)1790(平日)=へ。

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