<新型コロナ>アジア系差別 英で深刻 コロナ不安 憎悪犯罪3倍ペース

2020年5月26日 02時00分

23日、ロンドンの中華街は、持ち帰り営業をする飲食店の前だけ人がいた=沢田千秋撮影

 英国で新型コロナウイルスが広がった1~3月の間、中国などアジア系住民への憎悪犯罪(ヘイトクライム)が例年の3倍だったことが英スカイニュースの調べで分かった。新型コロナへの不満と不安のはけ口として暴行や暴言を受け、自宅から出られないアジア系住民も少なくないという。(ロンドン・沢田千秋)
 大学生のマイケル・チューさん(22)は二月、英中部シェフィールドで交通トラブルの後、若い男に暴言を吐かれ、車にリンゴを数個投げ付けられた。買い物の最中に年配者から「ウイルスを持ってるだろう」と言われたことも。「北アイルランドで生まれ、両親は中華料理弁当店で懸命に働いてきた。ウイルスが怖いのは分かるが、肌の色だけで標的にするのは公平じゃない」と訴える。
 十七歳から英国で暮らす中国系の作家ベラ・チョクさん(43)は三月、ロンドンの公園で、アフリカ系女性から「あなたに関わりたくない」と叫ばれた。チョクさんはショックで外出を控えるようになった。「見た目が中国系の友人たちは家から出ないか、ロンドンを離れた」という。「人々は新型コロナの不確実性と恐怖に直面し『スケープゴート』を探している。すべての原因を黄色人種に向けている」と不安がる。
 スカイニュースは、イングランドとウェールズ地方の計四十四警察で一~三月の間、二百六十七件のヘイトクライムを確認した。二〇一八年は三百六十件、一九年が三百七十五件で、今年は三カ月間で例年の70%以上が発生した計算だ。
 中国以外にも日本や東南アジア系住民も被害を受けた。英鉄道警察などが把握した事件では、被害者が「国へ帰れ、ウイルス持ち」「マスクはおまえら中国人には機能しない」と言われ、殴られた例もあった。
 慈善団体「ストップ・ヘイトUK」ロンドン代表マイク・エインウォース氏によると、英国では欧州連合(EU)の離脱決定で排外主義的思想が強まり、新型コロナの拡大で問題がより深刻化しているという。
 同氏は、地下鉄の駅で被害を受けた人が「最も打ちのめされたのは、プラットホームにいた二百人が何もせず傍観したこと」と話したことを例に、「沈黙はヘイトへの同意を意味する」と警鐘を鳴らす。
 ロンドン大のダイアナ・イェ上級講師(社会学)は、英政府がヘイトクライムを非難する声明を出していないと批判。ジョンソン首相が「英国を再び偉大に」というスローガンを好んでいることに関連し、「医療の最前線では多くの移民が犠牲になっている。こんな植民地主義的な信条は、新型コロナの影響を受けている彼らに本当に失礼だ」と憤った。

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