<新型コロナ>韓国「K防疫」で攻勢 PCR検査と隔離治療で感染ゼロに

2020年5月1日 02時00分

行楽シーズンに入った29日、韓国ソウルにある金浦空港の国内線ターミナルは多くの人でごった返した=AP

 【ソウル=相坂穣】韓国の中央防疫対策本部は三十日、新型コロナウイルスの新規感染者が二十九日に市中で一人も出なかったと発表した。南部大邱(テグ)などでの集団感染により、一日最大九百人を超えた感染拡大期前の二月十八日以来、七十二日ぶりにゼロを記録。文在寅(ムンジェイン)政権は、世界的に評価を高めた韓流の感染対策をアピールし、内政、外交両面で攻勢をかけている。
 「防疫当局と医療陣の献身と国民の協力が力になった。『K防疫』が世界標準になる」。文氏は二十七日の大統領府会合で、早期のPCR検査と隔離治療を軸に成果を上げている防疫措置を海外で人気の「Kポップ」をもじって誇った。
 昨年秋に側近のスキャンダルなどで30%台まで低下した大統領支持率は、四月最終週の世論調査で60・6%まで上昇した。
 天然資源が乏しく、人口六千万人足らずで国内市場も小さく輸出産業に活路を見いだしてきた韓国にとって、K防疫への期待は大きい。洪楠基(ホンナムギ)副首相兼企画財政相は二十七日、「新たな市場開拓と国家地位向上のため、K防疫を経済協力を深める資産として活用する」と述べ、発展途上国への四億ドル(約四百三十億円)の緊急支援を発表した。
 韓国は、車に乗ったまま受けられるドライブスルー検査や、医療崩壊を防ぐため軽症者を病院以外で隔離する方法を世界に先駆けて導入したが、韓国政府は四月、こうした防疫措置が国際標準化機構(ISO)から認証を受けられるよう手続きを開始した。
 政府の緊急承認で増産された民間の検査キットは首脳外交でも活用されている。四月中旬には、爆発的な感染が起きた米国からの要請に応え、七十万個超を支援。安保政策などを巡り信頼関係が疑問視されていたトランプ氏も十八日、文氏との電話協議で「韓国の感染対策は最高の模範」とたたえ、十五日の韓国国会の総選挙での与党圧勝について「文大統領が大きな勝利を収めた」と持ち上げた。
 韓国外務省高官は二十日に、朝鮮戦争の国連軍参加国を対象に、国内供給で余裕の出てきたマスクを提供する方針も明らかにしている。元徴用工問題などで冷え込む日本向けも検討され、在日韓国人の有力者から自民党関係者に打診したとの一部報道もあるが、外務省は二十七日、「政府として日本政府には打診していない」と慎重な言い回しにとどめた。

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