<新型コロナ>感染ゼロ「奇跡」の老人ホーム 面会禁止国に先行/職員施設で生活 スペイン

2020年4月24日 02時00分
 【パリ=竹田佳彦】新型コロナウイルス感染のため高齢者施設で入所者の死亡が相次いでいるスペインで、一人も感染者を出さず「奇跡」と呼ばれている施設がある。国の規制前からいち早く面会禁止措置を取り入れたり、一部の職員を施設内で生活させたりするなど、徹底した衛生管理が功を奏している。
 施設は首都マドリードの北西五十六キロにある老人ホーム「レジデンシア・ミラシエラ・セルセディリャ」。入所者は四十六人で、二人部屋と個室に加え広い共有スペースが五つある。
 国内感染者数がまだ百人以下だった三月一日時点で、通常からインフルエンザ対策を重視していた施設は新型ウイルスを強く警戒。国の対応を待たず、まず入所者の家族らに当面の訪問を禁じた。反発はなく、家族には毎日、通信アプリで状況を報告している。
 対策はこれだけにとどまらない。ウイルスの侵入を少しでも防ぐため一人暮らしの職員六人と専属医師が施設内で生活。通いの職員の制服は施設で洗い、建物も毎日数回消毒している。衛生意識を高めるため、施設ではわざと手袋を使わず手洗いを重視している。
 ロシオ・ペレス・コルテス所長は本紙の電話取材に「手袋をしていると安全だと思い、汚れているものでも平気で触る。汚染を広げかねない」と指摘する。
 また、出入り業者にも外でマスクと手袋の着用を徹底してもらい、外で履いた靴は殺菌し、建物内では脱ぐ措置を取っている。
 マドリードではこれまでに五千五百人以上が高齢者施設内で死亡した。感染した入所者を置き去りにして職員が逃亡したと疑われる事案も起きている。
 コルテスさんは「来訪者や家族と距離を保ったことが大きい」と言う。ただ、入所者の感染が確認されていないため、職員らが感染を確認するPCR検査の対象外であることが懸案だ。「職員が無症状でも感染している場合はある。職員らへの検査は必要だ」と強調した。

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