<新型コロナ>感染者の監視・追跡に各国躍起 ハイテク駆使して封じ込め

2020年4月15日 02時00分
 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、各国はデータ技術を駆使して感染者の追跡に取り組んでいる。封じ込め対策として国民の評価を得る一方、監視強化や人権侵害への懸念も出ている。(北京・中沢穣、ソウル・相坂穣、ロンドン・藤沢有哉)

■赤・黄・緑 個人の感染リスクを色で表示

 感染が抑え込まれたとされる中国湖北省武漢市。ウイルスの再流行を防ぐための切り札とするのが、スマートフォンを利用した「健康コード」だ。
 「近所に感染者が出て、コードの表示が(感染リスクが高いとされる)赤色になり、外出できなくなった」。中国のネット上ではこんな武漢市民の書き込みが目立つ。
 中国メディアによると、コードはIT大手と連携して導入。QRコードとして用い、移動履歴などを基に個人の感染リスクを自動的に緑、黄、赤で判定する。位置情報や交通機関の利用履歴、身分証番号などの個人情報を一括管理するため、感染者が出た場合は接触者を即座に特定できる。
 低リスクを意味する緑の表示がなければ、バス・地下鉄の乗り降りや、商業施設の出入りもできない。行動が著しく監視・制限されるが、中国ではプライバシー侵害に対する強い拒否反応は出ていない。

8日、中国・武漢の鉄道駅の入り口で、「ヘルスコード」を使って健康状態を申告する人たち=新華社・共同

 武漢に住む五十代の人権活動家の男性は、当局の制限で健康コードが使えず、事実上の行動制限を強いられている。男性は「市民がこれだけ監視されていれば、本当の意味での封鎖解除とはいえない」と話す。
 習近平政権は各地で同様の監視体制の導入を進めており、将来は国内共通のシステムになるとみられる。

■行動追跡用リストバンドを装着

 韓国では、一日から海外からの全入国者に二週間の自主隔離を課し、スマホの専用アプリで毎日の健康状態の報告を義務化している。当局はアプリの位置情報で隔離者の居場所を確認するが、スマホを切ったり、置いたりして外出する違反者が続出。このため政府は十一日、自主隔離措置の違反者に、行動追跡用の「電子リストバンド」を装着すると発表した。
 世論調査では、自主隔離者への装着について77・8%が賛成。爆発的な感染を抑えているとして、文在寅(ムンジェイン)大統領の支持率は54%前後の高水準だ。
 リストバンドは香港でも既に欧州などからの入境者に着用を求めている。ただ、韓国の防疫対策は感染者のカード履歴や防犯カメラなどで個人情報を収集、幅広く公開する異例の手法も伴う。リストバンド導入で人権侵害に拍車がかかるとの危惧も出ている。

■ブルートゥースで濃厚接触者を追跡、通知するアプリ

 欧米は、近距離無線通信「ブルートゥース」を活用したスマホアプリの開発に乗り出した。米IT大手のアップルとグーグルは十日、感染者と濃厚接触した可能性がある人を追跡し、通知する技術を共同開発すると発表。英政府も十二日、独自のアプリを開発中と公表した。

■「個人情報保護の統一指針を」

 ハンコック英保健相はプライバシーへの配慮から、アプリ利用を強制しない考えを強調。政府に助言する専門家は、利用者が少なければ効果が薄れると指摘しつつ「政府のシステムに、簡略に匿名化された個人情報が大量に集められることは不安だ」と葛藤する。
 欧州連合(EU)のデータ保護監視機関は、個人データの目的外使用を禁じ、ウイルス危機後は消去するなど、EUで統一的な仕組みが必要との認識を示す。欧州委員会は十五日までに、アプリに関する統一指針をまとめる予定だ。

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