<新型コロナ>都市封鎖 各国に差  外出で罰金、逮捕も 東京はどうなる?

2020年3月30日 12時41分
 新型コロナウイルス感染症の拡大を巡り、東京都の小池百合子知事は「今後の推移によってはロックダウン(都市封鎖)などの強力な措置を取らざるを得ない可能性がある」と強い言葉を使い、都民らに慎重な行動を呼び掛けている。実際に都市封鎖が行われた場合、首都圏の交通や人々の生活はどうなるのだろうか。
 多摩川が越えられず、周辺県との行き来ができない―。そんなイメージも浮かぶ「都市封鎖」。移動が制限され買い物に出るにも許可が必要になるのでは、と心配する声も聞かれる。
 だが日本の場合は、まず改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づいて首相が緊急事態宣言を発令し、それを受けて対象地域の都道府県知事が、生活に必要な場合を除く外出の自粛や学校の休校などを要請する権限を持つことになる。
 「海外のような強権的な都市封鎖にはならない。法の目的はあくまでも医療態勢の崩壊の防止。罰則を伴う外出の禁止や時間制限、検問などはなく、欧米での『封鎖』のイメージとは異なる」と防災・危機管理アドバイザーの山村武彦氏。
 ただ、これまでの大規模イベントの自粛要請など単なる呼び掛けと違って要請に法的な根拠ができ、自粛の動きが加速する可能性は高い。山村氏も「街への人出はまばらになり、交通機関も自主的に間引き運転をするのではないか。巣ごもりのための生活物資の買い増しで、一時的な品不足も起きる」とみる。
 既に感染が拡大した三月上旬、都営交通機関の利用者数は昨年同期と比べて最大で二割ほど減少。民間信用調査機関のアンケートでも、都内の企業の七割が二月の売り上げが減ったと回答している。外食・観光産業をはじめ中小零細事業者への打撃が広がり、倒産も出始めている。
 医療面では、知事は医薬品などの強制的収用や医療施設のための土地・建物の強制使用といった私権制限を伴う措置も可能になる。
 山村氏は「緊急事態宣言による都道府県知事の措置は『伝家の宝刀』。抜かずに済むためにも、今から一人ひとりが感染拡大を防ぐ意識を強く持つべきだ」と強調する。
 都の担当者は「都が出す措置は、国の基本対処方針に基づいた内容になる。まだ具体的な検討はしていない」と話している。(小倉貞俊)

◆欧州各国は強制力のある行動制限で罰則

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、欧州をはじめすでにロックダウン(都市封鎖)に踏み切った国々では、強制力を伴う行動制限で違反者に罰則を科すところも多い。市民生活は大きく制約されている。(新型コロナウイルス取材班)

◆フランス…外出に許可証必要、運動は一人で

 フランスの首都パリ。十七日正午に原則外出禁止になって以降、喪に服したような静けさだ。高級店が並ぶ目抜き通りシャンゼリゼ通りはほぼ無人が続く。
 外出には許可証が必要。二十四日からは「健康のための運動」が自宅から一キロかつ一時間以内と厳格化された。警官や憲兵隊が違反者を取り締まるが国民の外出は絶えず、悪質な累犯者への罰金は三千七百ユーロ(約四十四万円)に上昇した。
 住宅地に近いエッフェル塔周辺ではジョギングする住民も。ただ、二人以上が立ち話をしていると警官が近づいて許可証を確認し、「運動は一人で、立ち止まらないで」と求めた。
 ドイツは公共の場で家族や同居人以外が三人以上集まることを禁止。他者との距離を最低一・五メートルあけるよう求める。遊具がある公園は閉鎖され、五歳の息子がいる母親(37)は「子どもを遊ばせる場所がない」と嘆く。飲食店は持ち帰りか配達のみ。スーパーなどでは客の距離を保つためレジ前の床に線を引き、レジ台に飛沫感染を防ぐ透明パネルを設けた店もある。

◆英国…外出制限違反は罰金4000円

 英国も、外出制限の違反者は罰金三十ポンド(約四千円)を科す。生活必需品を扱う店を除いた商店や娯楽施設、飲食店は閉鎖された。
 一方、オンライン販売は活況で、英メディアによると、在宅勤務者の増加でノートパソコンやプリンターの売り上げが急増。学校閉鎖で児童書や参考書の需要も高まり、大手書店のオンライン販売額は外出制限前の五倍に膨らんでいる。

◆米国…50州中22州で外出、出勤、集会が禁止

 感染者数が中国を抜き世界一位となった米国。米CNNによると、今週末までに全米五十州のうち二十二州で不要不急の外出や出勤、集会が原則禁止される。全米人口の半数以上が制約を受ける。
 規制は州ごとに「自宅待機令」や「屋内退避令」などさまざま。買い物や通院、散歩のための外出のほか、食料品店や治安当局、医療機関など「必須」の仕事は除外する例が目立つ。

26日、外出制限で閑散とする米ニューヨーク・マンハッタン中心部=赤川肇撮影

 感染者数が全米最多のニューヨーク州は二十二日から「可能な限り最大限」の自宅待機を義務づけるとともに、「必須でない」事業活動を禁止。ニューヨーク市は飲食業界やエンターテインメント業界などが軒並み打撃を受けている。
 トランプ大統領は外出禁止などの措置を全米規模で講じる可能性を否定。「米国は閉鎖のために建国されたわけではない」と述べ、四月十二日のイースター(復活祭)までに経済活動を再開させる意向も示す。

◆フィリピン…違反者は逮捕 インド…警官が殴打 ヨルダン…1600人逮捕

 フィリピンでは午後八時~午前五時の夜間外出禁止令が出され、日用必需品の買い出しは認めるが一家族一人。違反すると逮捕の可能性もある。主婦ローラ・メンデスさん(56)は「政府は職を失った労働者を経済的に援助し、貧しい家庭に救援の食料を多く配給してほしい」と訴えた。
 十三億人超の人口を抱えるインドでは、二十五日から全土で三週間の外出禁止に。日用品の買い出しや通信、インフラなどの一部事業活動は認められるが、買い出しに外出した人や食料品の宅配業者が警官に棒で激しく殴られる映像も地元メディアで流れ、措置の運用に疑問の声も上がる。
 中東各国でも多くの国で夜間外出禁止が実施され、違反者には厳しい罰則が待つ。ヨルダンでは指示を破って外出していた千六百人以上が逮捕され、トルコでは不満をあおるような内容をソーシャルメディアに投稿した四百十人が拘束されたという。
(2020年3月28日朝刊「核心」に掲載)

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