「雑な政治」はびこる世に

2020年5月25日 02時00分
 安倍政権による「雑な政治」が極まったと言わざるを得ない、昨今の醜態である。
 黒川弘務東京高検検事長が賭けマージャンを報じられて辞職し、検察人事への政権の介入が懸念される検察庁法改正案は、世論の強い反対で今国会成立が見送られた。
 法解釈を変えてまで定年を延長したご仁である。安倍晋三首相は、どうやって任命責任を「取る」つもりか。
 安倍政権はかつて憲法解釈を変更して「集団的自衛権の行使」を容認したことがある。決して許されるべきではないが、このときですら有識者会議や国会審議、閣議決定など一定の手順は踏んでいた。
 黒川氏にはこうした手順もなく、検察官に適用されないとしてきた国家公務員法の解釈を変更して定年を延長した。決裁すら口頭だったという。安保法以下の雑な対応だ。
 新型コロナウイルスを巡っては、「既知の感染症」だから既存の特別措置法は適用できず、改正が必要だと言い張ったが、いつの間にか首相は何のためらいもなく「未知のウイルス」と言い換える。前言は何だったのか。
 権力者が前言を翻し、手順を踏まず、勝手気ままに振る舞う「雑な政治」。責任は「ある」と言いながら、決して「取ろう」とはしない。世界を見渡せば日本だけの話ではないが、これがコロナ後の「新しい日常」となるのは御免蒙(ごめんこうむ)りたい。 (豊田洋一)

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