サクラの花言葉は…

2020年5月20日 02時00分
 韓国第三の都市・大邱(テグ)は、日本で注目を集めていた。センスのいいカフェや飲食店が増え、日本からの直行便も飛ぶようになった。
 その大邱で今年、新型コロナウイルスの爆発的感染が起きた。一人の感染者が教会で、多くの信者と濃厚接触したためだった。人々は家に籠(こ)もらざるを得なくなり、繁華街から人が消え、ゴーストタウンとなった。
 この時、市民が何を思っていたかを伝える本が出版された。「新型コロナウイルスを乗り越えた、韓国・大邱市民たちの記録」だ。
 五十一人の市民が手記を寄せた。職業はさまざまだ。クリーニング店やカフェ、学習塾、ツアー会社、書店の経営者もいる。
 スーパーでは買い占めが起き、店は資金繰りが苦しくなった。不穏なうわさが飛び交い、大邱出身というだけで差別された。
 施設に入居する母親と会えなくなった童話作家は、「これは現代版離散家族だ」と書いた。離散家族とは、南北に別れて住む家族のことだ。意外にも、多くの市民が咲き出したサクラに心を癒やされ、希望を感じていた。
 生花店の店主は「サクラの花言葉は治癒であり待つことだ」と記した。日本でも、同じ思いでこの花を見ていた人がいただろう。
 出版社「クオン」が、まずPDFで日本語版を発売。医療従事者編とあわせて、六月初旬に書籍として発売される予定。問い合わせはcuon@cuon.jpへ。 (五味洋治)

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