無理筋のストーリーに

2020年4月29日 02時00分
 「国家公務員法の定年延長規定は検察官には適用されない」-一九八一年の政府見解である。人事院の局長はこの政府見解を「現在まで引き継いでいる」と国会答弁していた。後に「つい、言い間違えた」と訂正されたが、本当は訂正の必要はなかったのではないか。そう疑っている。
 なぜなら、人事院は昨年五月段階でも「定年延長規定は検察官には適用されない」旨を記した文書を法務省宛てに発出しているからだ。しかも検察庁法改正案が昨年十月段階で内閣法制局で原案審査されたときも、「定年延長は必要ない」と法務省が見解をまとめていた。つまり人事院も法務省も「検察官には適用されない」ままだったのだ。
 「適用される」と百八十度転換するのは、東京高検検事長の定年延長問題が起きたとき。または首相の「解釈を変更した」との答弁があってからではないか。そもそも法相は当初、八一年政府見解を「存じ上げない」と国会答弁していた。検察庁法改正案の核心であるのに、知らないとは…。
 それ以降、定年延長に関する政府説明は破綻状態に陥り、現在は法案審議されている。時系列で考えれば、東京高検検事長の脱法人事を正当化するためとしか考えられない。国民にはそう見えている。
 無理筋のストーリーに付き合わされるのはごめんだ。 (桐山桂一)

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