韓国前法相疑惑、深まる対立 政権、捜査幹部を一新 検察、大統領府に矛先

2020年1月31日 02時00分
 【ソウル=境田未緒】韓国検察と文在寅(ムンジェイン)政権の対立が激化している。収賄罪などで起訴されたチョ国(チョグク)前法相を巡る疑惑の捜査を検察が進める中、政権は担当の捜査幹部らを交代させる人事を強行。検察側が大統領府秘書官を起訴すると、政権側は新設する捜査機関による検察の捜査をちらつかせるなど泥沼化し、四月の総選挙にも影響しそうだ。
 文大統領からチョ被告の後任に任命された秋美愛(チュミエ)法相は、就任から一週間もたたない八日に最高検察庁幹部ら三十二人の交代人事を発表。一連の捜査にかかわった幹部らに代わり、政権に近いとされる人物を配した。
 韓国法務省は二十三日にも、中堅幹部を含む検事七百五十九人の人事異動を発表。韓国メディアによると、チョ被告の疑惑捜査を指揮するソウル中央地検とソウル東部地検の次長検事三人が地方に一斉に異動する。
 人事案を知った尹錫悦(ユンソギョル)検事総長は、同省に「同意できない」と伝えたが、決定は覆らなかった。大統領府や与党も関わる事件の捜査が進む中、露骨ともいえる人事介入に、保守系メディアが「尹氏の手足をもいだ」「大虐殺」と批判的に報じた。一方、同省は「非正常を正常化した」などと説明した。
 検察側も対抗する。蔚山(ウルサン)市長選に大統領府が介入した疑惑を巡り、文氏の最側近の一人、任鍾ソク(イムジョンソク)前大統領秘書室長が三十日、ソウル中央地検の取り調べに応じるために出頭。同地検は二十三日の検察人事が発表される直前にも、弁護士時代にチョ被告の息子のインターン証明書を偽造して大学院の入試業務を妨げたとして、大統領府の秘書官を業務妨害罪で在宅起訴した。
 この際、文氏に近いソウル中央地検長が、捜査陣の起訴書類を決裁しない判断をしたが、尹氏は地検次長に指示して起訴を強行した。これに激怒した秋氏は、起訴が妥当かどうかを判断する監察を予告。秘書官も、尹氏らが「高官不正捜査庁」の捜査対象になると息巻いた。同庁は、検察に代わって上級公務員を捜査する機関として近く設立される予定で、検察の権力分散を目指す政権の目玉政策の一つ。
 検察は長年、時の政権と結び付いて権力をふるってきただけに、文政権による検察改革は世論の支持を得ているものの、法務省の強引な検察人事には賛否が相半ばしている。

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