ウイグル弾圧、とまらぬ中国 米欧諸国が批判強める

2019年11月30日 02時00分

動画投稿サイト「ユーチューブ」に公開されたウイグル族「職業教育訓練センター」の様子=共同

 【北京=中沢穣】中国政府が新疆(しんきょう)ウイグル自治区で少数民族ウイグル族を弾圧しているとの批判が、国際社会で高まっている。中国政府による弾圧の内幕を記した内部文書が相次いで明らかになったためだ。中国政府は反論に躍起だが、国際社会の圧力が政策転換につながる見通しはない。
 「決して容赦するな」。習近平国家主席は当局者にこう命じ、イスラム過激分子との「対テロ闘争」の徹底を求めた。米紙ニューヨーク・タイムズが報じた内部文書は、テロ対策を名目としたウイグル族への弾圧が、習氏の指示に基づくことを明らかにした。
 同紙が入手した約四百ページの文書からは、ウイグル族がイスラム教の慣習や教えに従ってひげを伸ばしたり、酒を飲まなかったりすることを理由に、中国政府が「職業教育訓練センター」と呼ぶ施設に収容される実態が浮かぶ。
 国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手した内部文書は、「職業教育訓練センター」が事実上の強制収容所となり、百万人以上が収容されている現状を示した。ウイグル語ではなく中国語を使わせ、脱走を防ぐために入浴中や食事中も監視を怠らない。収容対象者は、監視カメラ映像や携帯電話のデータなどあらゆる個人情報を集め、人工知能(AI)で解析して選び出していた。
 衝撃的な実態が明らかになり、香港問題に加えてウイグル族への弾圧が国際社会の関心を一気に集めた。ポンペオ米国務長官は二十六日に「中国が人権を踏みにじっている証拠だ」として、中国に圧力をかけるため各国に協力を求めた。英国やドイツ、フランスなども批判を強め、国連監視団の受け入れを求めている。米国との摩擦を抱える中国は欧州との関係を重視してきたが、この戦略に影響を与える可能性もある。
 中国政府は反論に追われている。同自治区政府は「悪意のあるデマだ」と同紙の報道を全面否定。ICIJの内部文書について、外務省の耿爽(こうそう)副報道局長は「新疆に民族、宗教、人権問題は存在しない」と反論した。
 圧力にいらだつ中国政府だが、ウイグル政策を変える兆しは見えない。二十六日には「宗教の教義を時代の要求に合わせて新たに解釈する」ことをテーマにした会議を開催。全国政治協商会議の汪洋(おうよう)主席が出席し、イスラム教徒に対する従来の強硬姿勢を改めて確認した。

2017年7月、新疆ウイグル自治区カシュガルに設置された民族団結を訴える横断幕=明治大現代中国研究所提供(共同)

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