武人と品位/夏の夢/時代の行方

2020年4月23日 02時00分

荘加卓嗣(45)社会部記者

◆武人と品位

 祖父は旧陸軍の軍人だった。一兵卒から将校になり、終戦時は少佐。戦争激化による将校不足に伴う急造だったようだが、三十歳そこそこで佐官に上ったことは終生自慢だったよう。私が五歳の時に亡くなったが、その後も祖母や父から「おじいちゃんは…」と聞かされた。
 私が担当する防衛省で、女性向けデリバリーヘルスを経営していた一等海佐の懲戒免職が発表された。自らもサービスを提供していた。旧軍なら海軍大佐。前代未聞のことに、省内の耳目を集めた。
 今の自衛官の多くは気さくである。「軍人」が威張らない現代は良いと思うのだが、品位まで失ってほしくはない。

◆夏の夢

 航空自衛隊松島基地(宮城県東松島市)で、曲技飛行チーム「ブルーインパルス」の五輪聖火到着式に向けた訓練を取材。約二十年ぶりにカラースモークで描く五輪に魅入る。一週間後、到着式は行われたが、新型コロナウイルスの感染拡大で、本番は来夏へ延期となった。
 今回はパラリンピック開会式でも、ブルーインパルスが飛ぶ方向で調整が進んでいた。前回のリオデジャネイロ・パラリンピックを取材したが、困難を乗り越え開会式を迎えたパラアスリートたちが見せた「キラキラ」とした笑顔が忘れられない。
 夏の東京で、ブルーインパルスが祝福する大空を見上げる彼らの姿を思い浮かべると、少し胸が熱くなる。コロナ禍が終息して迎えるその日を待つ。

◆時代の行方

 昨年の今ごろは宮内庁担当だった。四月一日は新元号「令和」を当時の天皇陛下と皇太子さまに伝えに向かう同庁幹部を追いかけた。改元を控えた東京は春の陽気と相まって高揚感に満ちていたように思う。
 それから一年。昨秋は相次ぐ台風被害に見舞われ、現在は新型コロナウイルスの感染が拡大している。子どものころから散々笑わせてもらった、志村けんさんも亡くなった。悲しい。
 戦争で多くの命が失われた昭和。災害は多かったが、戦争はなかった平成。「理不尽な死が減る」という点で、人の世はまがりなりにも進化論的に進歩するものと思っていたのだが。令和の行く末を案じる。
<しょうか・たかし> 1999年入社。愛知県清須市出身。郷土の英傑、織田信長パイセンの後輩を自任する。取材と息抜きを兼ねて夜な夜な飲み語り、シナトラを歌う日々だが、現在は自粛中。

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