まばたきの音/不可抗力では/食の好み  

2020年1月17日 02時00分

加藤健太(33)社会部記者

◆まばたきの音

 目が見えない人らがプレーするブラインドサッカーの取材を続けている。原点は四年前。全盲の女性アスリート(34)にインタビューした時の驚愕(きょうがく)体験だ。
 目が見えない人は聴覚など他の感覚が研ぎ澄まされると聞いたことがある。彼女も「まばたきの音だって分かる」と平然と言った。
 静かな部屋で向き合い、まさかと疑うと、「ほら、今した」。まぶたがこすれるかすかな音を聞き取っていた。
 帰り道、全盲の彼女が「できないこと」ではなく、彼女だから「できること」に興味が湧いた。ブラインドサッカーも同じ。自分にはできないプレーが繰り広げられるから面白い。

◆不可抗力では

 昨年十月の台風19号は結婚式も中止に追い込んだ。気候が良い十月は人気が高く、しかも三連休と絶好の日程だった。首都圏で少なくとも十七組が延期やキャンセルを強いられた。
 東京都足立区の会社員女性(30)は計画運休の発表を受けて前日に中止を決めた。「天気に左右されない全天候型が売りの式場だったのに」。追い打ちをかけたのが高額なキャンセル料を請求されたことだった。
 交渉して、ゲストに贈る菓子代の五万円だけを支払ったが、「不可抗力では…」と不満がくすぶる。急なキャンセルに備える保険にも入っていたが、新郎新婦の病気や身内の不幸を主に想定しており、自然災害には冷たかった。二月に延期した式が何事もなく済みますように。

◆食の好み 

 国が違えば食の好みも当然ばらばら。外国人観光客でごった返す浅草の飲食店では日夜、目を疑うような光景に遭遇する。
 安くてうまいある立ち食いすし店は、口コミで広まったのか海外からの旅行客でいつも大にぎわい。皆さん注文は、一貫目はだいたい、味が想像できるツナかサーモン。一緒に頼むドリンクはコーラだ。
 人気のラーメン店では、イタリア人男性が首を横に振って渋い顔。つたない英語で話を聞くと、スープに脂が浮いているのが気に入らないらしく、「ノンオイリー」を欲しがった。その後、再び料金を支払ってご所望の一杯を味わい、「これ、これ」とご満悦の男性。厨房(ちゅうぼう)に目をやると、今度は店主が首を横に振っていた。
<かとう・けんた> 愛知県出身。2009年入社。したまち支局で都内のニュースを担当。趣味は音楽とDIY。休日は平均年齢43歳の草野球チームで主力を担う。右投げ右打ち。送りバントが得意。

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