「Dappi」裁判、どんな経緯だった?匿名アカウントは何を投稿をしたのか
2023年10月16日 15時20分
X(旧Twitter)の匿名アカウント「Dappi」。虚偽の投稿で名誉を傷つけられたとして立憲民主党の国会議員2人が、東京都内のIT関連企業に対して損害賠償などを求めた民事訴訟は、そもそもどんな裁判だったのか。どのようなアカウントだったのか。これまでの経緯をまとめた。(デジタル編集部)
◆発端は?なぜ裁判になった?
匿名アカウント「Dappi」は「偏向報道をするマスコミは嫌いです」などとプロフィール欄にうたい、政治的な内容のツイートを連投して16万ものフォロワーを集めた。特に野党やマスコミに対する攻撃的な投稿を繰り返した。
まずは、裁判のきっかけとなった投稿について振り返る。
投稿があったのは2020年10月25日。その頃、学校法人「森友学園」の国有地売却問題を担当していた元財務省近畿財務局職員が決裁文書改ざんを強制され自殺したとして、元職員の妻が国と元国税庁長官に損害賠償を求め提訴した裁判が大阪地裁で進んでいた。
Dappiは、作家・ジャーナリストの門田隆将氏による産経新聞紙面でのコラムの画像を添え、コラムを引用する形で「近財職員は杉尾秀哉や小西洋之が1時間吊るしあげた翌日に自殺」と記した。
このコラムをよく読むと、両議員について「(東京の)財務省に乗り込み」と書いてあり、近畿財務局に乗り込んだとは書いていない。「つるし上げた」対象としても「(東京の財務省の)職員」とあるだけで、自殺した元職員だとは記していない。
にもかかわらず投稿は、あたかも元近畿財務局職員を両議員がつるし上げて自殺に至らしめたかのように記している。
門田隆将「朝日や毎日は自殺した近財職員の元上司が『改竄はやるべきでないが野党から追い詰められ少しでも作業量を減らす為にやった』という音声部分はカットし事実と真逆の報道。近財職員は杉尾秀哉や小西洋之が1時間吊るしあげた翌日に自殺」
— Dappi (@dappi2019) October 24, 2020
左派メディアは野党に都合が悪いことは報じない pic.twitter.com/TrxuuliGfw
にもかかわらず投稿は、あたかも元近畿財務局職員を両議員がつるし上げて自殺に至らしめたかのように記している。
両議員は「近畿財務局の自殺した職員に説明や面談を求めた事実はない」としており、この投稿で名誉を傷つけられたと受け止めた。アカウントが匿名のため、X社(旧Twitter)やプロバイダへの発信者情報開示の手続きを経て、投稿の発信者がIT関連企業であることを確認し、2021年10月に東京地裁へ提訴した。
Dappiの投稿は、提訴された2021年10月が最後。現在に至るまで止まったままだ。
◆そもそも「Dappi」アカウントとは?
フォロワー数が16万人を超えるDappi。国会議員や首長らも、しばしば自身のアカウントでその投稿を取り上げて拡散することがあった。
投稿は平日の朝から夕方までが多く、夜間や土日は少ない。
ほんとヒドイな。改憲議論において、もうこの人達、相手にする必要ないよ。やる気ないんだから。100年経っても進まないよ。自民党は本気で改憲する気があるなら、自公維で討論、そして国民に提案してもらいたい。最終決定権限は、国民だ。これまで一度も自国の憲法に投票したことない。 https://t.co/zBf69MFE4N
— 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) October 4, 2019
投稿は平日の朝から夕方までが多く、夜間や土日は少ない。
各テレビ局の報道内容を分単位で集計してグラフにしたり、国会中継の途中に編集した動画を添えて連続投稿したり、手間のかかる投稿内容も多かったりすることから、この訴訟が提起される前から「会社組織」によるアカウント運営を疑う声がSNS上などで挙がっていた。
自民や維新など保守系政党を称賛することが多い一方、立民や共産などリベラル系政党に対しては「屑中の屑」「恥を知れ」「日本の敵」などと攻撃的な内容の投稿が目立つ。国会の動画を切り張りし、本来とは違う主旨に編集した投稿もあった。
◆裁判での争点、わかったこと
裁判で明らかになったのは、被告の東京都内のIT関連企業が契約するネット回線から投稿されていたこと。さらに営業時間内に投稿が繰り返されていたことだった。
原告側は、仕事の片手間に投稿できる作業量ではないことから「組織的に運営されていた」と主張した。
被告側は「従業員の1人が業務とは関係なく私的に投稿した」と反論した。
◆フェイクニュースでビジネス?
原告が主張するように「業務」だった場合、その資金源や運営目的にも謎が残る。
第1回口頭弁論後の記者会見で、原告の杉尾議員は「意図的にフェイクニュースを流すことがビジネス化しているという指摘がある。民間企業を隠れ蓑にして政治的な情報操作をやっているという実態があるとすれば、歯止めをかけなければならない」と語った。
一方、被告側は「会社の業務に関連する投稿や会社の宣伝になる投稿は一つもない。会社にメリットのない投稿を、業務として行わせるはずもない」と強調。「投稿が業務によるものだと拘泥し続ける原告の姿勢からは、訴訟の目的が他にあるのではないかとの違和感を覚えざるを得ない」と主張している。
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