NHKラジオ第1・第2 2026年度に1波に削減 AMラジオの老舗番組、これからも聴けるの?
2023年10月19日 12時00分
NHKが2026年度から現在2波あるAMラジオを1波削減する方向だ。ネットの普及や経費削減が理由だが、長く親しまれた老舗番組も多い。公共放送の縮小で、情報弱者は取り残されてしまわないだろうか。(曽田晋太郎)
◆経費削減「仕方ないが、寂しい」の声
「経費削減なら仕方ないが、寂しい。ラジオでしかやらないような特徴ある番組を聞いている人もいると思うので、残した方がいいのでは」
毎日就寝する際、ラジオ第1の「ラジオ深夜便」を聞くのが楽しみという東京都小金井市の木村勝美さん(80)は、AM1波削減をこう受け止める。
一方、渋谷区の自営業女性(65)は小学生の頃に世界の都市を紹介する番組をよく聴いていたが、「今はネットが発達している。1波減るのは時代の流れでは」。乗客を待つ際によくラジオを聞くというタクシー運転手の男性(63)も「NHKも経営改善しなければならない事情があるのだろう。ニュース番組などはなくならないだろうし、そんなに不自由は感じない」と語った。
1波削減とはどういうことか。NHKは10日、24~26年度の次期経営計画案を発表し、27年度に収支均衡させるため、23年度予算と比べて約1千億円の経費を削減するとした。その策の一つとして、ラジオ第1と第2を1波にし、26年度からAMとFMの2波に再編する。
NHK広報局によると、ラジオ第1と第2の片方がなくなるわけではなく、統合して再編する。このため、既存の番組で残るものもあれば、なくなるものもある。ただ、具体的な番組編成についてはまだ決まっていないようだ。
◆第2に多い語学関連番組は…
ラジオ第1はニュースや教養番組が豊富なのに対し、第2はほとんどが語学関連番組で構成されている。その先駆けは、終戦直後に始まり、アナウンサーの故平川唯一 さんが講師を務めて人気を博した英語講座、通称「カムカム英語」だ。
1波削減のあおりを受ける番組はまだ分からないが、平川さんの次男洌 さん(82)は「国際的な時代にあって語学は大事なコミュニケーションツールの一つ。英語をはじめ語学番組は絶対に残すべきだ」と訴える。
ただ「最近のNHKのテレビやラジオの英語番組は、分かりやすさを重視してか日本語の発音で伝えている。父は海外でも通用する英語の発音を重視していたので、ぜひネーティブの発音で伝えてほしい」と苦言も。「同じような内容の語学番組が多かったので、1波になるのを機に、現地の英語の会話を伝えるなど違った角度の番組作りをしては」と提案する。
◆公共放送NHKの使命考えて
ネットの時代となり、民放AM局の大半が28年をめどにFM局への転換を目指している流れもある。ただNHKは公共放送。昨今ネット解禁など収益事業に前のめりだが、弱者対応などの使命はどうなるのか。
名古屋大大学院の小川明子准教授(メディア論)は「世界と比べると今のNHKは、国際情勢報道やローカルな報道、権力監視など、収益性は低いが市民が知るべきことを伝える関心が薄い。公共放送の役割がきちんと実行されているか疑問だ」と指摘。「ラジオは視覚障害者ら弱者にとっても重要な情報源。1波に統合する際には、ニーズだけでなく公共性を考えた上で、必要な番組を残すべきだ」と求める。
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