「空飛ぶクルマ」試験飛行にツッコミ殺到「ヘリにしか見えん」 吉村洋文知事が「車」「万博運用」にこだわる理由

2023年12月16日 12時00分
 2025年開催予定の大阪・関西万博で商用運航を目指す「空飛ぶクルマ」の有人テスト飛行が11日、大阪市内で行われた。ただ、「見た目はヘリ」「乗る勇気はない」などと評判はいまいち。開発を進める企業側も、自由に飛び回る運航には消極的な様子だ。吉村洋文大阪府知事は万博の目玉としてPRに躍起だが、果たしてその思惑とは。(宮畑譲)

◆ドイツ・ボロコプター社製

 機体上部にある円形の骨組みに取り付けられた18基のローターが一斉に回転すると、垂直に離陸。ヘリコプターのような脚部で着陸をこなした。今回、「空飛ぶクルマ」のテスト飛行をしたのは、万博で飛行予定の独ボロコプター社製の機体だ。

 操縦席に乗り込んで説明を受けた吉村知事は、X(旧ツイッター)に「ヘリのように大掛かりでない。空の移動革命になるだろう。万博で運行実現へ」と書き込んだ。
 吉村知事はこれまでも、「空飛ぶクルマ」を推してきた。8月のイベントでは「大阪のベイエリアを普通の人が自転車に乗るみたいに、空飛ぶクルマに乗ってぐるぐる回っているのを万博でやります」とぶち上げた。
 しかし、今回のテスト飛行にSNS上では、「どう見ても車じゃない…」「ヘリにしか見えません」「これを車と言い張るには無理がある」といった突っ込みが相次いだ。

◆「会場をぐるぐる商用飛行、は難しい」

 「空飛ぶクルマ」について、日本国際博覧会協会は、万博会場と別の地点を結ぶ2地点間の運航を想定しているが、どうなるのか。ボロコプター社の幹部は13日、記者団の取材に対し、2地点間での運航は未定との認識を明らかにし、「遊覧飛行で大阪全体を見渡してほしい」と述べるにとどまった。
 独の会社だけではない。万博での運航を予定する4グループの一つ、ANAホールディングスの芝田浩二社長は14日、共同通信の取材に「お客さまを乗せて万博会場をぐるぐる(商用)飛行できるかというと厳しい」との見方を示した。
 そもそも、空飛ぶクルマは自動車に分類されていない。電気を使い、垂直離着陸ができる乗り物で、「eVTOL(イーブイトール)」と呼ばれる。航空法上も航空機に該当する。国土交通省は、ライセンスや運航ルールなどを本年度中にまとめる予定だが、それから万博まで約1年しかない。

大阪市の万博推進局報道発表資料に掲載されている「空飛ぶクルマ」のイラスト。こちらは車輪のようなモノが付いている?

 「万博に合わせるのはあきらめるのが現実的だ」。こう話すのは、航空評論家の青木謙知(よしとも)氏。「軍事目的なら別だが、民間での実用化はまだまだ先の話だと思う。輸送に使うために必要なインフラも整備されていない。万博で乗るとしたら、ものすごい料金になるのではないか」とみる。

◆カジノのためのインフラ整備さえできれば?

 いろいろ突っ込まれても、あくまで「空飛ぶクルマ」という呼び方と万博の運航にこだわるのはなぜか。帝塚山学院大の薬師院仁志教授(社会学)は「大阪都構想で『大阪市はなくならない』と言ったり、『イソジンがコロナに効く』と言ったり、ウソを言っても平気というのは維新のやり方だ」と、党としての姿勢の表れだと批判する。
 その上で、「万博の経費は膨張するのに、パビリオンの撤退など中身はどんどんショボくなっている。『空飛ぶクルマ』と呼び続けるのも、万博のやっていることのいいかげんさの見本だ」と指摘し、万博開催の本音をこう推測する。
 「万博会場の跡地へのカジノ誘致ありきだ。カジノのためのインフラ整備さえできれば、万博は張りぼてでも何でもよい、ということなのだろう」

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