トライアスロンの女王が指南 自粛明け練習再開の心得

2020年5月27日 07時51分

オンラインで取材に応じる上田藍

 新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が首都圏でも解除され、スポーツ選手や学生は段階的に練習を再開できるようになった。1カ月以上の外出自粛を経て、どのようにスタートを切るべきか。トライアスロン女子の第一人者で、4大会連続の五輪代表を目指す上田藍(ペリエ・グリーンタワー・ブリヂストン・稲毛インター)に練習再開時の注意点や気持ちのつくり方を聞いた。 (森合正範)
 <3月、長野県内で自主練習を行っていた。4月7日、緊急事態宣言が東京など7都府県に発令され、拠点の千葉に戻ることができなくなった>
 往来はよくないので、千葉に帰らず、ずっと長野にいます。一度、気持ちを落ち着かせて、今できることをやろうとリセットしました。屋内でバイクをこいだり、これまでできなかった体幹を鍛えるメニューを増やしたり。
 昨年、落車で大けが(外傷性気胸、外傷性くも膜下出血など)をして、当たり前にできていたことができなくなった。状況は違うけど、練習が制限されることに対し、受け入れやすくなっていました。
 <宣言は全国に拡大。長野県は今月14日に解除され、感染防止策を講じ、外で運動できるようになった。だが、久々となる外での練習では、体に変化を感じたという>
 3月まで自転車でスイスイ上れた坂なのに、息切れする。心拍数や脈拍も上がっていた。以前と同じことができない。ああ、体力が落ちたなと思いました。翌日は腕や背中が筋肉痛になったりして。

東京五輪出場を目指す上田藍=長野県佐久穂町の八千穂高原で

 練習を再開したとき、理想的な動きを求めてしまうと、体力、スキルの面でがっかりする。いくら室内でやっていても、外で行うのとは違う。これまで積み上げてきたものはいったん崩れています。
 焦らずに、今の心拍数や筋肉痛を感じて、それが戻ってくるのを楽しんでみてはどうでしょう。いずれ体力は元に戻ります。
 <練習再開は「おうちトレーニング」の成果を試すときだという>
 体力は落ちているけど、楽しみがあります。外出自粛中、私は体幹トレーニングに励みました。これまでできなかったことに時間を費やしてきたので、どういう変化が起こるか楽しみです。皆さんがやってきた自宅トレーニング、本を読んだり、勉強してきたことを試してみましょう。体力は戻ってくるので、鍛えてきたことが新たにできるようになれば、自粛前よりパワーアップできる。そういう変化や成長を楽しみたいですね。
 <学校再開を控え、全国高校総体や目標の大会が中止になった学生たちにエールを送る>
 自分の学生時代は、まだ多くのことを吸収している段階でした。もし同じ状況なら、なかなか消化できなかったと思う。ストレスをためるより、一緒に汗を流し、目標に向かってきた仲間同士で今思っていることを話し合ってはいかがですか。最初は「大会に出られず悔しい」「試合があれば」と愚痴や不平不満になるかもしれない。でも、仲間と素直に話すことが大切で、それが「前に進もう」「また頑張ろう」と切り替わる第一歩につながると思います。
 話をすると心が整います。気持ちを抱え込まず、仲間とたくさん話した上で、次へと向かうエネルギーを育んでほしいと強く願っています。
<うえだ・あい> 2008年北京五輪から3大会連続出場。日本選手権優勝5回。国際トライアスロン連合の理事、日本トライアスロン連合のアスリート委員会委員長を務める。155センチ、44キロ。36歳。京都市出身。

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