<ふくしまの10年・マスター、もう少し聞かせて> (7)野菜販売がつなぐ縁

2020年5月27日 08時05分

JR福島駅前でマーケットの準備をする佐藤宏美さん(中)=2019年11月、福島市で

 JR福島駅前で、新鮮な野菜や加工品を販売する「グッデイマーケット」を開く佐藤宏美さん(43)と知り合ったのも居酒屋「せら庵」のカウンターだった。新型コロナウイルス感染拡大防止のため一時休止していたが再開した。
 佐藤さんの名刺には「一般社団法人GDMふくしま・代表理事」とあるが、東京電力福島第一原発事故が起きた当時は京都の料亭で役員秘書をしていた。報道で被災地の状況を見て、じっとしていられず、出身地の福島市に戻り、被災者支援のボランティアを始めた。
 風評被害に苦しむ農家を応援するため、生産農家らと駅前で農産物の販売を始め、二〇一八年一月には社団法人を設立した。
 佐藤さんを取材したのは一八年十月。浪江町役場前の仮設商店街だった。福島市から片道七十五キロの道のりを軽自動車に野菜を満載して、一人で販売していた。昨年七月にスーパーが役場近くに開店し、野菜の遠距離販売は終了したが、一個五十円のリンゴや梅干し用のシソなどを買う客と会話が弾んでいた。
 佐藤さんはとにかく顔が広く、フットワークも軽い。情報のキャッチも早い。福島駅前で開店準備中の佐藤さんに「震災関係でユニークな活動をしている人知りませんか」と声をかけると、しばらくして「大熊町でこんな人がいますよ」とメールで情報をもらったこともある。
 佐藤さんは振り返る。「浜通りを近く感じるようになりました。浪江町民の方とも仲良くなり、モモなど福島市の果物をよろこんでもらい、今でも注文をいただきます。ありがたいことです」 

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