[第17回]<講評>「考えの形成」示す作品群 東京新聞NIEコーディネーター・神部秀一

2020年5月27日 08時35分
 最終審査に残った各部門四十点ほどの作品は、甲乙付けがたく、入賞作品選出に相当迷いました。一つ一つが、オリジナルの価値をもって輝いていました。テーマもさまざまで、皆さんが社会を見る目を広げ、考え方を深めていることを感じました。大きな被害をもたらした台風や自然災害への着目、ラグビーワールドカップや目前に迫る東京五輪・パラリンピック等のスポーツへの興味、日韓関係・北朝鮮問題・働き方改革といった時事的問題や、いじめ・虐待等の生活周辺の問題への関心など、多岐にわたる作品群でした。
 小学生の最優秀は、千葉県市川市立富美浜小五年、橋口真優(まゆ)さんの「戦争を知らない私が戦争を繰り返さないためにできること」。「はじめに」で問題意識を明確にし、「おわりに」で「(戦争を)くりかえさないためにも、悲惨なことを後の世代に伝え続ける」と決意を表明しました。丁寧に記事を切り抜き、可能な限りコメントを付け、努力がよく分かる作品です。
 中学生最優秀は、東京都世田谷区立玉川中一年の日野琴音(ことね)さんの「生き方で決める働き方」。「まとめ」として「自分の働き方を見つけて働くことが大切」とし、同時に「一人一人の働き方が違うのは当たり前と思える職場作りを」と提案しています。自問自答しながら「働き方」に関する考えを深めました。色別の台紙に工夫が見られ、掲載紙名・日付も忘れず、紙面構成が見事な作品です。
 高校生最優秀は、千葉県立四街道特別支援学校高等部三年、山口七生(ななお)さん「核廃絶~私達から~」。平和記念式典に着目し、「若い人々が率先して伝えていく」必要を訴えました。核廃絶という重厚なテーマを、主張に合わせた記事を集め、分類整理し、素晴らしい作品にまとめました。
 記事を読みコメントを書く。「おわりに」で意見をまとめる。両論ある記事を整理して、さまざまな見方や考え方に気付く。これらは今、学校現場で求められている「考えの形成」であり「見方・考え方」の学習です。本コンクールは、学校教育と離れて存在するものではなく、積極的に子どもたちの学力形成に寄与しているのです。

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